レノにされるがまま寝室に連れ込まれたヒロインの心臓が跳ねた。



　本を隠したベッドは目前だ。



　ちらりとそちらに視線を送ったヒロインの心臓が、飛び出す勢いで大きく脈打った。



　ベッドの下に押し込んだ本が雪崩を起こし、数冊顔を覗かせている。



　運良くレノからは見えていない。



　ヒロインは巧みにレノを誘導し、身体で本を隠した。



　危機は脱した。



　ヒロインはほっと胸を撫で下ろした。





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　ヒロインが危機を脱したと思っていた一方で、レノはヒロインが今までの挙動不審だった答えを見つけていた。



　ヒロインの身体の合間から見えた本の表紙に書かれていた単語――『妊娠』を目にして、ようやく理解する。



（ったく…正直に言えばいいものを）



　言いだせなかったヒロインの気持ちが分からないわけではない。



　しかし、正直に話してほしかった、というのが本音だった。



　レノは改めてヒロインに向き直り、真っ直ぐその瞳を見つめた。



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