「どうやったら、あいつは俺のこと好きになってくれるんだろうな」



　皆が任務に出かけている。



　俺は一人で留守番をしながら、最大の悩みを口に出した。



　どうせ誰も聞いちゃいない。



　そう油断していると、部屋の片隅から勝ち誇ったような笑いが聞こえてきた。



「ふっふっふっ…いいコト聞いた！」



「ヒロイン！？」



　奥から現れたのは、当の本人、ヒロイン。



　正直、心臓が止まり掛かった。



「お、お前、何でいるんだ！？」



　身体の全汗腺から、嫌な汗が噴き出てくる。



　声も裏返る。



　しかし、そんな小さなことに構う余裕はなかった。



　何しろ、本人に気付かれたのだから。



　いや、俺の気持ちがヒロインに伝わったから、いいのか？



　いやいや、でも――



　そう考えを巡らせていると、ヒロインがにやにや笑いながら近づいてきた。



「まさか、天下のレノさんが、そんなことに悩んでるなんてねぇ」



　鬼の首を取ったように笑っていたヒロインが、首を軽く傾げた。



「で、片思いの相手って誰なの？」



　ヒロインのすっとぼけた発言に、俺はあんぐり口を開けた。



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