氷の微笑
ヒロイン
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勢いで家を飛び出し、そのままヒロインのマンションまで来たところで、レノは我に返った。
「あー…しまった」
レノは高層マンションを見上げ、頭を掻いた。
そもそも『会わない』と言ったヒロインが家にいる保障はない。
男は家に連れ込まないとは言っていたが、もしかしたら連れ込んでいるかもしれない。
ここまで来たのはいいが、徒労に終わりそうだ。
レノは大きな溜息を吐き、帰ることを決めた。
「…何してるの?」
振り返った先では、スエット姿で買い物袋を提げたヒロインが、不審げにこちらを見ていた。
見慣れないラフな格好のヒロインに目を丸くし、レノは言葉を詰まらせた。
「あ、いや…」
会えると思っていなかったこともあり、レノは必死で気の利いた言葉を探す。
しかし、そんなものがすぐに出てくるはずもない。
(あー!面倒臭ぇ!)
そう思ったときには、口から言葉が出ていた。
「ヒロインに会いたくなったから来たんだぞ、と」
「え…」
珍しくヒロインが驚いた様子で、目を大きく見開いた。
そんなヒロインの一挙手一投足にどぎまぎしながら、レノは続ける。
「いきなり『会わない』なんて、寂しいだろ?だから――」
「くくっ…」
突然ヒロインが笑いだした。
レノは訳が分からず、ぽかんとヒロインを見る。
「あ、ごめん。いや、可愛いところあるんだな、って」
『可愛い』なんて、彼女にすら言われたことがない。
レノは気恥ずかしくなって、そっぽを向いた。
「せっかくだから、お茶ぐらい飲んで行けば?」
ヒロインが笑った。
そのいつになく暖かな笑みに、レノは不覚にも見惚れてしまっていた。
「…嫌なら無理にとは言わないけど」
「あ、いや、行く!行くぞ、と」
レノはヒロインの後に付いていった。
ちょっとは脈あり、か?
レノがヒロインの思いに気付くのは、もう少し先のお話。
END
2008/11/18
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「あー…しまった」
レノは高層マンションを見上げ、頭を掻いた。
そもそも『会わない』と言ったヒロインが家にいる保障はない。
男は家に連れ込まないとは言っていたが、もしかしたら連れ込んでいるかもしれない。
ここまで来たのはいいが、徒労に終わりそうだ。
レノは大きな溜息を吐き、帰ることを決めた。
「…何してるの?」
振り返った先では、スエット姿で買い物袋を提げたヒロインが、不審げにこちらを見ていた。
見慣れないラフな格好のヒロインに目を丸くし、レノは言葉を詰まらせた。
「あ、いや…」
会えると思っていなかったこともあり、レノは必死で気の利いた言葉を探す。
しかし、そんなものがすぐに出てくるはずもない。
(あー!面倒臭ぇ!)
そう思ったときには、口から言葉が出ていた。
「ヒロインに会いたくなったから来たんだぞ、と」
「え…」
珍しくヒロインが驚いた様子で、目を大きく見開いた。
そんなヒロインの一挙手一投足にどぎまぎしながら、レノは続ける。
「いきなり『会わない』なんて、寂しいだろ?だから――」
「くくっ…」
突然ヒロインが笑いだした。
レノは訳が分からず、ぽかんとヒロインを見る。
「あ、ごめん。いや、可愛いところあるんだな、って」
『可愛い』なんて、彼女にすら言われたことがない。
レノは気恥ずかしくなって、そっぽを向いた。
「せっかくだから、お茶ぐらい飲んで行けば?」
ヒロインが笑った。
そのいつになく暖かな笑みに、レノは不覚にも見惚れてしまっていた。
「…嫌なら無理にとは言わないけど」
「あ、いや、行く!行くぞ、と」
レノはヒロインの後に付いていった。
ちょっとは脈あり、か?
レノがヒロインの思いに気付くのは、もう少し先のお話。
END
2008/11/18
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