氷の微笑
ヒロイン
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朝、オフィスでレノといつものように挨拶を交わす。
会社では人の目があるため、必要以上に会話はしない。
だから、レノとヒロインが関係を持っていることは、誰も知らない。
そもそも、ヒロインにとっては知られたくないことだった。
性欲処理と、背徳感を伴う刺激を求めるという利害が一致したため関係は続いているが、二番手に甘んじていることを誰かに知られるのは、ヒロインのプライドが許さなかった。
「そろそろ潮時、かな」
ヒロインは、自分に背を向けて座るレノに、視線を向けた。
いつもなら、さっさと別れて次を探している頃だ。
男に執着はしない。
身体だけの関係なら、代わりはいくらでもいる。
それは、レノも例外ではないはずだった。
それなのに、何故か次を探す気にはなれなかった。
今日もいつものように、ヒロインは話し掛けてきた同僚と他愛もない会話をしていた。
だが、レノがこちらを見ることはない。
ましてや嫉妬する素振りを見せるわけもない。
忠実にヒロインとの約束を守るレノが何故だか面白くなく、ヒロインは大げさに笑ってみせた。
レノにもしっかりと聞こえるように。
すると、一瞬レノがこちらを向いた。
ヒロインの心臓が大きく脈打った。
しかし、レノがこちらを見たのは一瞬で、さして関心があるふうではなかった。
(バカみたい)
らしくないことをしてしまったヒロインは自分に腹が立ち、その苛立ちをレノにも向けた。
『今日は会わない』
勢いに任せて、レノにそうメールを送った。
レノからの返信は『了解』とだけ記されており、素っ気ないものだった。
ヒロインはますます面白くなくなり、携帯を乱暴にカバンに突っ込んだ。
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会社では人の目があるため、必要以上に会話はしない。
だから、レノとヒロインが関係を持っていることは、誰も知らない。
そもそも、ヒロインにとっては知られたくないことだった。
性欲処理と、背徳感を伴う刺激を求めるという利害が一致したため関係は続いているが、二番手に甘んじていることを誰かに知られるのは、ヒロインのプライドが許さなかった。
「そろそろ潮時、かな」
ヒロインは、自分に背を向けて座るレノに、視線を向けた。
いつもなら、さっさと別れて次を探している頃だ。
男に執着はしない。
身体だけの関係なら、代わりはいくらでもいる。
それは、レノも例外ではないはずだった。
それなのに、何故か次を探す気にはなれなかった。
今日もいつものように、ヒロインは話し掛けてきた同僚と他愛もない会話をしていた。
だが、レノがこちらを見ることはない。
ましてや嫉妬する素振りを見せるわけもない。
忠実にヒロインとの約束を守るレノが何故だか面白くなく、ヒロインは大げさに笑ってみせた。
レノにもしっかりと聞こえるように。
すると、一瞬レノがこちらを向いた。
ヒロインの心臓が大きく脈打った。
しかし、レノがこちらを見たのは一瞬で、さして関心があるふうではなかった。
(バカみたい)
らしくないことをしてしまったヒロインは自分に腹が立ち、その苛立ちをレノにも向けた。
『今日は会わない』
勢いに任せて、レノにそうメールを送った。
レノからの返信は『了解』とだけ記されており、素っ気ないものだった。
ヒロインはますます面白くなくなり、携帯を乱暴にカバンに突っ込んだ。
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