氷の微笑
ヒロイン
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「今日は泊まっていけよ」
レノはベッドから起き上がり、端に座っているヒロインの腰に腕を回した。
情事を終えたばかりのヒロインの肌は、しっとりと汗ばんでいた。
それが先程までの行為を思い起こさせる。
甘い声で求め、鳴く、ヒロインの姿。
行為の最中だけは、ヒロインはレノのものだった。
しかし。
「遠慮しとく」
振り返りもせず、ヒロインは素っ気なく言った。
そして、レノの腕から逃れるように立ち上がった。
「彼女、来るんでしょ?」
「…みたいだな」
痛いところを突かれ、レノは口を尖らせた。
「でも、ヒロインが泊まっていくなら、追い返すぞ、と」
それまでてきぱきと身なりを整えていたヒロインが動きを止めた。
「そんな修羅場、見たくないし――」
ヒロインが首だけ振り返り、温かさの欠片もない笑みを浮かべた。
「彼女の地位を脅かすつもりもないわ」
ヒロインの冷ややかなセリフに、レノは小さな溜息をこぼした。
そうだ、ヒロインとは身体の関係だけ。
そういう約束で始まった関係だった。
でも、今は――
「じゃあ、彼女になってくれよ」
唐突に出た言葉は、紛れもなく本心だった。
身体だけじゃなく、心も全て欲しい。
隣にいてほしい。
しかし、ヒロインは表情を変えなかった。
そして、一言「無理」と言った。
それは、見事に予想どおりの答えだった。
だからこそ、レノもそれ以上食い下がらず、いつものように『聞き分けのいい、遊び人の男』を演じ続ける。
「だろうな。俺も重たい関係はごめんだ」
レノはヒロインから目を離し、床に脱ぎ捨てた上着からタバコを取り出した。
だから、レノは気付かなかった。
ヒロインが寂しげに顔を曇らせたことを。
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レノはベッドから起き上がり、端に座っているヒロインの腰に腕を回した。
情事を終えたばかりのヒロインの肌は、しっとりと汗ばんでいた。
それが先程までの行為を思い起こさせる。
甘い声で求め、鳴く、ヒロインの姿。
行為の最中だけは、ヒロインはレノのものだった。
しかし。
「遠慮しとく」
振り返りもせず、ヒロインは素っ気なく言った。
そして、レノの腕から逃れるように立ち上がった。
「彼女、来るんでしょ?」
「…みたいだな」
痛いところを突かれ、レノは口を尖らせた。
「でも、ヒロインが泊まっていくなら、追い返すぞ、と」
それまでてきぱきと身なりを整えていたヒロインが動きを止めた。
「そんな修羅場、見たくないし――」
ヒロインが首だけ振り返り、温かさの欠片もない笑みを浮かべた。
「彼女の地位を脅かすつもりもないわ」
ヒロインの冷ややかなセリフに、レノは小さな溜息をこぼした。
そうだ、ヒロインとは身体の関係だけ。
そういう約束で始まった関係だった。
でも、今は――
「じゃあ、彼女になってくれよ」
唐突に出た言葉は、紛れもなく本心だった。
身体だけじゃなく、心も全て欲しい。
隣にいてほしい。
しかし、ヒロインは表情を変えなかった。
そして、一言「無理」と言った。
それは、見事に予想どおりの答えだった。
だからこそ、レノもそれ以上食い下がらず、いつものように『聞き分けのいい、遊び人の男』を演じ続ける。
「だろうな。俺も重たい関係はごめんだ」
レノはヒロインから目を離し、床に脱ぎ捨てた上着からタバコを取り出した。
だから、レノは気付かなかった。
ヒロインが寂しげに顔を曇らせたことを。
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