意地っ張りの恋愛譚
ヒロイン
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「今日は、ありがとう」
「いや…」
「じゃあ、また明日」
ヒロインは一度もレノの顔を見られぬまま、背を向けた。
「ヒロイン」
レノがヒロインの手を掴んだ。
軽く手を引かれたヒロインは、レノと向かい合う形になった。
間近でレノに見つめられ、ヒロインの心拍数が上がる。
ヒロインは動揺を誤魔化すために、曖昧な笑みを浮かべた。
「ど、どうしたの?急にそんな真剣な顔して――」
「ヒロイン、やり直そう」
それは、ずっと前から聞きたいと願っていた言葉。
ヒロイン自身の願いでもあった。
しかし、喜びに震える心とは裏腹に、ヒロインはレノの言葉に頷けずにいた。
「やだ、そんな冗談…」
「冗談なわけないだろ」
レノに真摯に見つめられ、ヒロインは言葉を飲み込んだ。
今、レノの思いを受け入れれば、元通りになる。
2年間変わらず抱えていた想いも報われる。
でも――
「ごめん…」
ヒロインは、下を向いて言葉を絞り出した。
「レノに格好悪い姿見せたくなくて、勝手に距離を置いて、別れ切り出して――たぶんやり直しても、また同じ結果になると思うから…」
「だから、やり直せない?」
ヒロインは小さく頷いた。
「バカだな」
「え?」
予想だにしなかったレノの言葉に、ヒロインは自分の耳を疑った。
「お前、今、俺に格好悪いとこ見せてるじゃねーか」
レノに指摘され、ヒロインははっとする。
思いもかけず本音を吐露していたことが恥ずかしくなり、ヒロインは口を押さえた。
「そういう所見せてくれた方が、俺は嬉しいぞ、と」
「…そう、なの?」
「あぁ」
一人で勝手に理想の『ヒロイン』を作って演じていたことが、急に馬鹿馬鹿しく思えてきた。
「バカみたい、私」
「少しずつでもいいから、いろんなヒロインを見せてくれよ」
「…考えとく」
今回は、素直な恋愛ができるかもしれない。
END
2008/06/22
.
「いや…」
「じゃあ、また明日」
ヒロインは一度もレノの顔を見られぬまま、背を向けた。
「ヒロイン」
レノがヒロインの手を掴んだ。
軽く手を引かれたヒロインは、レノと向かい合う形になった。
間近でレノに見つめられ、ヒロインの心拍数が上がる。
ヒロインは動揺を誤魔化すために、曖昧な笑みを浮かべた。
「ど、どうしたの?急にそんな真剣な顔して――」
「ヒロイン、やり直そう」
それは、ずっと前から聞きたいと願っていた言葉。
ヒロイン自身の願いでもあった。
しかし、喜びに震える心とは裏腹に、ヒロインはレノの言葉に頷けずにいた。
「やだ、そんな冗談…」
「冗談なわけないだろ」
レノに真摯に見つめられ、ヒロインは言葉を飲み込んだ。
今、レノの思いを受け入れれば、元通りになる。
2年間変わらず抱えていた想いも報われる。
でも――
「ごめん…」
ヒロインは、下を向いて言葉を絞り出した。
「レノに格好悪い姿見せたくなくて、勝手に距離を置いて、別れ切り出して――たぶんやり直しても、また同じ結果になると思うから…」
「だから、やり直せない?」
ヒロインは小さく頷いた。
「バカだな」
「え?」
予想だにしなかったレノの言葉に、ヒロインは自分の耳を疑った。
「お前、今、俺に格好悪いとこ見せてるじゃねーか」
レノに指摘され、ヒロインははっとする。
思いもかけず本音を吐露していたことが恥ずかしくなり、ヒロインは口を押さえた。
「そういう所見せてくれた方が、俺は嬉しいぞ、と」
「…そう、なの?」
「あぁ」
一人で勝手に理想の『ヒロイン』を作って演じていたことが、急に馬鹿馬鹿しく思えてきた。
「バカみたい、私」
「少しずつでもいいから、いろんなヒロインを見せてくれよ」
「…考えとく」
今回は、素直な恋愛ができるかもしれない。
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