旧拍手小説集
ヒロイン
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
Present for You 2
悩んで悩んで、気が付きゃホワイトデー当日。
結局手ぶらで出社した俺は、すぐ後悔することになった。
「レノ、おはよう」
にっこり笑ったヒロインの机の上には、お返しの山。
「お、おう」
平静を装ってみても、気持ちは焦る。
こいつに気のある男の数を見せ付けられたような気がして。
「モテるんだな」
嫉妬心から出た言葉だった。
言ってから自分の格好悪さに気付いたが、もう遅い。
ヒロインは、困った顔をして俯いていた。
「そんなことない。だって――本命の彼から貰えなきゃ、意味ないから」
『本命の彼』――
グサッときた。
好きな奴がいるんだと、好きな奴の口から聞かされるなんて思いもしなかった。
こんなことなら、もっと早く告っときゃよかった。
「…レノは、誰かに渡さないの?」
もう渡す意味もない。
「渡す相手、いなくなっちまったからな」
「そっか」
「つーか、好きな奴いるなら、そいつに気持ち伝えろよ」
これは、俺自身にも言えること。
でも、ヒロインには同じ思いをしてもらいたくない。
だから、俺は好きな奴の背中を押してやるんだ。
「…うん、そうする」
そう言って笑った顔がやっぱり愛しくて、俺はヒロインが好きなんだと実感する。
でも、もう終わり――
「…好きです」
小さな声で、確かにヒロインの口が好きだと言った。
「レノのこと、好きなの」
「…マジ?」
「うん、マジ」
「俺も、好きだぞ、と」
「マジ?」
「マジで」
何だか可笑しくて、二人同時に吹き出した。
「お返し、何が欲しい?」
「…レノ」
「お安い御用だぞ、と」
.
悩んで悩んで、気が付きゃホワイトデー当日。
結局手ぶらで出社した俺は、すぐ後悔することになった。
「レノ、おはよう」
にっこり笑ったヒロインの机の上には、お返しの山。
「お、おう」
平静を装ってみても、気持ちは焦る。
こいつに気のある男の数を見せ付けられたような気がして。
「モテるんだな」
嫉妬心から出た言葉だった。
言ってから自分の格好悪さに気付いたが、もう遅い。
ヒロインは、困った顔をして俯いていた。
「そんなことない。だって――本命の彼から貰えなきゃ、意味ないから」
『本命の彼』――
グサッときた。
好きな奴がいるんだと、好きな奴の口から聞かされるなんて思いもしなかった。
こんなことなら、もっと早く告っときゃよかった。
「…レノは、誰かに渡さないの?」
もう渡す意味もない。
「渡す相手、いなくなっちまったからな」
「そっか」
「つーか、好きな奴いるなら、そいつに気持ち伝えろよ」
これは、俺自身にも言えること。
でも、ヒロインには同じ思いをしてもらいたくない。
だから、俺は好きな奴の背中を押してやるんだ。
「…うん、そうする」
そう言って笑った顔がやっぱり愛しくて、俺はヒロインが好きなんだと実感する。
でも、もう終わり――
「…好きです」
小さな声で、確かにヒロインの口が好きだと言った。
「レノのこと、好きなの」
「…マジ?」
「うん、マジ」
「俺も、好きだぞ、と」
「マジ?」
「マジで」
何だか可笑しくて、二人同時に吹き出した。
「お返し、何が欲しい?」
「…レノ」
「お安い御用だぞ、と」
.