同月末日。



　任務完了。



　以上。










　レノはいつものようにヒロインのあとをつけていた。



　ただし今日は、距離を詰めて。



　レノは手で口元を覆う仕草で、袖口に仕込んだ小型マイクに向かって言った。



「目標、家を出ました」



『了解、そのまま尾行を続けろ。レノ、今回は証人の命が最優先だ。わかってるな』



「もちろんです、と」



　レノはツォンにそう答えると、さらにヒロインとの距離を縮めた。



（必ず、守ってやるぞ、と）








　今日はヒロインが法廷で証言する日。



　ヒロインの証言と持ち込む資料は、神羅のライバル企業を倒産に追い込むほどの力がある。



　敵が狙うならこの日だと、レノは確信していた。





　裁判所まではあと数百メートル。



　何もなければいいが――



　レノは気を抜くことなく、辺りを見回した。




　チカッ。




　一瞬目に入った反射光に、レノの緊張が一気に高まる。



（スナイパーか！？）



　そう直感したと同時に、レノは駆け出し、叫んだ。





「ヒロイン！」





　静かな街に銃声が轟いた。



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