「あんたたち、殺されるわよ」



　硝煙を上げる銃を下ろした男を、ヒロインは果敢に睨み付けた。



　そんなヒロインを、男が鼻で笑った。



「もっと自分の立場考えろよ」



　そして、つかつかと近づいてきた男がヒロインの顎を掴んだ。



　ヒロインはその痛みに軽く顔をしかめた。



「女が人質になるってことは、どういうことになるかわかるよな？」



　男がにやりと笑い、ヒロインの額に銃を突き付けた。



　ヒロインは震えていることを悟られないように、後ろ手に縛られた手で握り拳を作る。



　そして、真っ直ぐ男の目を見た。



「レノは絶対来る」



　ちっと舌打ちした男が、ヒロインの頬を張った。



　唇を切ったヒロインの口の端から、つーっと血が流れる。



　しかし、ヒロインは怯むことなく男を睨んだ。



「可愛くねぇな…」



　男がヒロインの胸ぐらを掴んだ。



「気の強い女は嫌いじゃないが、可愛げのない女は気に入らないな」



「私も、あんたみたいな男は嫌いよ」



　男の眉間に青筋が浮かぶ。



　憎々しげに顔を歪めた男が、手にしていた銃を振り上げた。



　ヒロインは反射的に目を瞑った。



「殺そうかと思ったが、止めだ」



　ヒロインはゆっくりと目を開けた。



　男が今までで最もいやらしい笑みを顔に張りつけている。



「いい女は、使い道があるからな」



　ヒロインはこれから自分に起こることを理解し、身を捩った。



「おっと、今更逃げるのはなしだ」



　乱暴に引き戻されたヒロインは壁に押しつけられた。



　激しく身体を打ち付け、息が詰まる。



「俺に犯されたって知ったら、あいつどんな顔するんだろうなぁ」



　ヒロインは自由の利かない身体で必死に抵抗した。



　震えが、止まらない。



「恨むんなら、俺たちに目を付けられた偶然でも恨んどけ」



　男の手がゆっくりと服に掛かる。



　ヒロインは顔を背け、ぎゅっと目を瞑った。



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