君が拾った一つの偶然
ヒロイン
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偶然なんてものはそこらに腐るほど落ちていて、選んだその一つが幸運を招き、時に悲劇の引き金になる。
お前に出会ったのも、俺が選んだ偶然。
そう言ったら、お前は怒ったっけ。
――偶然じゃなくて、出会う運命だった
と。
君が拾った一つの偶然
高層建築の神羅ビルの上層階で、レノは苛立たしげに足を踏み鳴らしていた。
エレベーターホール前で、エレベーターを待ってかれこれ5分が経とうとしている。
帰宅ラッシュ時、2機しかないエレベーターはフル稼働。
タークスのオフィスがあるフロアにエレベーターが止まる頃にはもう満員で、レノは既にそれを数回見送っていた。
「くそ、ついてないぞ、と」
スーツのポケットから携帯を取り出し、時間を確認する。
18時20分。
ヒロインとの待ち合わせ時間は疾うに過ぎた。
レノは溜息をつき、リダイアルからヒロインの番号を選んで電話を掛けた。
トゥルル
『はい』
ワンコール鳴り切らないうちにヒロインが電話に出た。
電話口から聞こえたヒロインの低い声から、レノはかなり状況が芳しくないことを悟る。
『何?』
「悪ぃ、少し遅れる」
『もう遅れてる』
それもそうだ。
バカなことを言ったものだと、レノは舌打ちした。
『遅刻、何回目?』
一段と苛立たしげなヒロインの声が鼓膜を震わせた。
『毎回待たされる方の身になってよ』
ヒロインの言っていることは正論で、レノはただ相槌を打ち、苦笑いを浮かべるしかなかった。
「すぐ向かうから、待っててくれよ。美味いモン奢るぞ、と」
『…帰る』
レノの健闘虚しく、電話はそこで切れてしまった。
「…やれやれだな」
レノは頭を掻いた。
エレベーターはまだ来そうにない。
これ以上時間を無駄にできないレノはエレベーターを諦め、非常階段に向かって走った。
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お前に出会ったのも、俺が選んだ偶然。
そう言ったら、お前は怒ったっけ。
――偶然じゃなくて、出会う運命だった
と。
君が拾った一つの偶然
高層建築の神羅ビルの上層階で、レノは苛立たしげに足を踏み鳴らしていた。
エレベーターホール前で、エレベーターを待ってかれこれ5分が経とうとしている。
帰宅ラッシュ時、2機しかないエレベーターはフル稼働。
タークスのオフィスがあるフロアにエレベーターが止まる頃にはもう満員で、レノは既にそれを数回見送っていた。
「くそ、ついてないぞ、と」
スーツのポケットから携帯を取り出し、時間を確認する。
18時20分。
ヒロインとの待ち合わせ時間は疾うに過ぎた。
レノは溜息をつき、リダイアルからヒロインの番号を選んで電話を掛けた。
トゥルル
『はい』
ワンコール鳴り切らないうちにヒロインが電話に出た。
電話口から聞こえたヒロインの低い声から、レノはかなり状況が芳しくないことを悟る。
『何?』
「悪ぃ、少し遅れる」
『もう遅れてる』
それもそうだ。
バカなことを言ったものだと、レノは舌打ちした。
『遅刻、何回目?』
一段と苛立たしげなヒロインの声が鼓膜を震わせた。
『毎回待たされる方の身になってよ』
ヒロインの言っていることは正論で、レノはただ相槌を打ち、苦笑いを浮かべるしかなかった。
「すぐ向かうから、待っててくれよ。美味いモン奢るぞ、と」
『…帰る』
レノの健闘虚しく、電話はそこで切れてしまった。
「…やれやれだな」
レノは頭を掻いた。
エレベーターはまだ来そうにない。
これ以上時間を無駄にできないレノはエレベーターを諦め、非常階段に向かって走った。
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