まごころを、君に
ヒロイン
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「よぉ、遅かったな」
扉を開けた途端聞こえてきたレノの声に、ヒロインは身を固くした。
暗闇に浮かぶ赤い髪。
他には誰もいない。
ヒロインは廊下の明かりを背に、その場に立ち尽くした。
今なら、他に誰もいない。
言ってしまおうか。
「待ってたんだぞ、と」
ヒロインは曖昧に笑った。
どうしたらいい?
何て言えば、傷つかずに済む?
「今日、どうしてもヒロインに言いたいことがあるんだ…」
いつものレノらしくない、歯切れの悪い言葉がヒロインの不安を煽る。
あまりいい話ではなさそうだ、とヒロインは直感する。
冷たく捨てられるぐらいなら、自分から切り出した方がいい。
きっとその方が傷が浅くて済む。
「私も、話があるの」
ヒロインは一歩、オフィスの中に足を進めた。
扉が機械音を立てて閉まる。
室内は完全に光を失った。
かろうじて互いの姿が確認できる程度だったが、ヒロインには都合が良かった。
レノに無感情な目を向けられ、それを感じるぐらいなら、何もわからない方がいい。
「あのね、レノ――」
ヒロインは一度深呼吸をし、言葉を切った。
「俺たちの子供、大切にしような」
思いもかけなかったレノの言葉にヒロインは目を瞬いた。
「どうして、知ってるの…?」
暗闇の中、レノが微笑んだのがわかった。
「ヒロインのことで知らないことなんてないぞ、と」
レノが歩み寄ってくる。
そして、呆然と立ち尽くす身体を優しく抱き締められた。
「ヒロイン、俺と一緒にならないか?」
.
扉を開けた途端聞こえてきたレノの声に、ヒロインは身を固くした。
暗闇に浮かぶ赤い髪。
他には誰もいない。
ヒロインは廊下の明かりを背に、その場に立ち尽くした。
今なら、他に誰もいない。
言ってしまおうか。
「待ってたんだぞ、と」
ヒロインは曖昧に笑った。
どうしたらいい?
何て言えば、傷つかずに済む?
「今日、どうしてもヒロインに言いたいことがあるんだ…」
いつものレノらしくない、歯切れの悪い言葉がヒロインの不安を煽る。
あまりいい話ではなさそうだ、とヒロインは直感する。
冷たく捨てられるぐらいなら、自分から切り出した方がいい。
きっとその方が傷が浅くて済む。
「私も、話があるの」
ヒロインは一歩、オフィスの中に足を進めた。
扉が機械音を立てて閉まる。
室内は完全に光を失った。
かろうじて互いの姿が確認できる程度だったが、ヒロインには都合が良かった。
レノに無感情な目を向けられ、それを感じるぐらいなら、何もわからない方がいい。
「あのね、レノ――」
ヒロインは一度深呼吸をし、言葉を切った。
「俺たちの子供、大切にしような」
思いもかけなかったレノの言葉にヒロインは目を瞬いた。
「どうして、知ってるの…?」
暗闇の中、レノが微笑んだのがわかった。
「ヒロインのことで知らないことなんてないぞ、と」
レノが歩み寄ってくる。
そして、呆然と立ち尽くす身体を優しく抱き締められた。
「ヒロイン、俺と一緒にならないか?」
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