まごころを、君に
ヒロイン
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「…気持ち悪い」
トイレの洗面台に両手を付き、ヒロインは自分の顔を鏡で見た。
綺麗に磨かれた鏡は曇り一つなく、今のヒロインの姿をはっきりと映し出していた。
返り血を浴び、右頬を赤くした自分の顔を。
自分のものではない、誰かの血。
自分が殺した、相手の血。
「うっ…」
ヒロインは洗面台に突っ伏し、吐冩した。
ようやく吐き出すものがなくなって荒く息をつきながら、ヒロインは洗面台の縁を力一杯掴んだ。
「私に、命を生む資格なんてない…」
こんなことになるなら、好きにならなければよかった――
ヒロインが自分の妊娠を知ったのは2週間前。
任務中に倒れ、検査の結果それが発覚した。
「相手は?」
医師に聞かれ、ヒロインは答えた。
「タークスの、レノ」
医師は困ったように視線を泳がせていた。
それはそうだろう。
彼は誰より縛られるのを嫌う。
妊娠したなどと言えば、彼は自分を冷たく突き放すに決まっている。
彼の人となりを知る人ならば、皆そう考えることだろう。
ヒロイン自身、レノに捨てられると考えた。
「とにかく、二人で話し合いなさい」
そう医師は言った。
ヒロインはその言葉に頷いたが、言うつもりはなかった。
捨てられるのが怖い。
それに――
「こんなに汚れた手で、子供を抱けるわけないじゃない…」
これから、どうしたらいいのだろう。
いくら考えても答えが出ない。
いっそのことレノに打ち明けようか。
結末がどうであろうと、答えは出てくるはずだ。
ヒロインはトイレを出て、ふらふらとタークスのオフィスへと向かった。
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トイレの洗面台に両手を付き、ヒロインは自分の顔を鏡で見た。
綺麗に磨かれた鏡は曇り一つなく、今のヒロインの姿をはっきりと映し出していた。
返り血を浴び、右頬を赤くした自分の顔を。
自分のものではない、誰かの血。
自分が殺した、相手の血。
「うっ…」
ヒロインは洗面台に突っ伏し、吐冩した。
ようやく吐き出すものがなくなって荒く息をつきながら、ヒロインは洗面台の縁を力一杯掴んだ。
「私に、命を生む資格なんてない…」
こんなことになるなら、好きにならなければよかった――
ヒロインが自分の妊娠を知ったのは2週間前。
任務中に倒れ、検査の結果それが発覚した。
「相手は?」
医師に聞かれ、ヒロインは答えた。
「タークスの、レノ」
医師は困ったように視線を泳がせていた。
それはそうだろう。
彼は誰より縛られるのを嫌う。
妊娠したなどと言えば、彼は自分を冷たく突き放すに決まっている。
彼の人となりを知る人ならば、皆そう考えることだろう。
ヒロイン自身、レノに捨てられると考えた。
「とにかく、二人で話し合いなさい」
そう医師は言った。
ヒロインはその言葉に頷いたが、言うつもりはなかった。
捨てられるのが怖い。
それに――
「こんなに汚れた手で、子供を抱けるわけないじゃない…」
これから、どうしたらいいのだろう。
いくら考えても答えが出ない。
いっそのことレノに打ち明けようか。
結末がどうであろうと、答えは出てくるはずだ。
ヒロインはトイレを出て、ふらふらとタークスのオフィスへと向かった。
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