Trick!
ヒロイン
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レノの心臓は今にも破裂しそうなほど激しく脈打っていた。
肝心のヒロインを恐る恐る見てみると、焦点の合わない目でレノを見上げていた。
ヒロインの身体を支えようとレノが掴んだ肩を放した途端、ヒロインがへなへなとその場に座り込んだ。
「お、おい!」
レノは焦って、自分もしゃがみこみ、ヒロインの背に腕を回した。
「…ヒロイン?」
ヒロインの目の前で手を振ると、ヒロインがはっと我に返り、目を瞬いた。
(やっぱ、今更遅いよな…)
自業自得だ。
一世一代の告白だったが、身から出た錆では仕方がない。
レノは頭を掻いた。
「悪ぃ、今のなし。忘れてくれ」
「どうして…」
やっとヒロインの口から出た言葉にレノは困ってしまった。
どうして、とはもっともだ。
今まで散々いじめて、手の平を返したような態度。
何と言えばいいのか。
考えあぐねていると、ヒロインの潤んだ瞳と目が合った。
「何で…何で『忘れてくれ』なんて言うの!?ずるいよ…」
溜め込んでいたものを全て吐き出すように、ヒロインはさらに続ける。
「やっと、私も好きって言おうと思ったのに…勝手に自己完結して、終わらせて!どれだけ人のこと振り回したら気が済むの!?」
「は?」
レノは普段より鈍くなった頭でヒロインの言葉を反芻する。
好きって、誰が誰を?
「ヒロインが、俺を、好き…?」
ヒロインが口をへの字に曲げて頷いた。
レノは緊張の糸が切れ、ヒロインの肩にもたれ掛かった。
こんなことなら、さっさと言ってしまえばよかった。
回りくどいやり方で気を引こうとするなんて、まるで子供だ。
そんな自分があまりに滑稽で可笑しい。
レノは声を上げて笑った。
「何笑ってるのよ!」
「ヒロイン、大好きだぞ、と」
レノはぎゅっとヒロインを抱き締めた。
これからはヒロインを泣かせたりしないぞ、と。
END
2007/11/07
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肝心のヒロインを恐る恐る見てみると、焦点の合わない目でレノを見上げていた。
ヒロインの身体を支えようとレノが掴んだ肩を放した途端、ヒロインがへなへなとその場に座り込んだ。
「お、おい!」
レノは焦って、自分もしゃがみこみ、ヒロインの背に腕を回した。
「…ヒロイン?」
ヒロインの目の前で手を振ると、ヒロインがはっと我に返り、目を瞬いた。
(やっぱ、今更遅いよな…)
自業自得だ。
一世一代の告白だったが、身から出た錆では仕方がない。
レノは頭を掻いた。
「悪ぃ、今のなし。忘れてくれ」
「どうして…」
やっとヒロインの口から出た言葉にレノは困ってしまった。
どうして、とはもっともだ。
今まで散々いじめて、手の平を返したような態度。
何と言えばいいのか。
考えあぐねていると、ヒロインの潤んだ瞳と目が合った。
「何で…何で『忘れてくれ』なんて言うの!?ずるいよ…」
溜め込んでいたものを全て吐き出すように、ヒロインはさらに続ける。
「やっと、私も好きって言おうと思ったのに…勝手に自己完結して、終わらせて!どれだけ人のこと振り回したら気が済むの!?」
「は?」
レノは普段より鈍くなった頭でヒロインの言葉を反芻する。
好きって、誰が誰を?
「ヒロインが、俺を、好き…?」
ヒロインが口をへの字に曲げて頷いた。
レノは緊張の糸が切れ、ヒロインの肩にもたれ掛かった。
こんなことなら、さっさと言ってしまえばよかった。
回りくどいやり方で気を引こうとするなんて、まるで子供だ。
そんな自分があまりに滑稽で可笑しい。
レノは声を上げて笑った。
「何笑ってるのよ!」
「ヒロイン、大好きだぞ、と」
レノはぎゅっとヒロインを抱き締めた。
これからはヒロインを泣かせたりしないぞ、と。
END
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