レノとの任務を終えたヒロインは、誰もいないオフィスに戻って腰を落ち着かせるなり盛大な溜息をついた。



　レノは、任務を終えて戻ってきてすぐ余所の部署の女性と何処かへ行った。



　互いに冗談を言い合いながら楽しそうに。



「仲良さそうだったなぁ…」



　自分との扱いの差を目の当たりにし、ヒロインはますます落ち込む。



「嫌われるようなこと、した記憶ないんだけどなぁ」



　そう言ってから、今日数時間前にレノに対して「大嫌い！」と言い放っていたことを思い出した。



　売り言葉に買い言葉だったが、直接的過ぎる拒絶の言葉を口にしてしまったことをひどく後悔した。



　ヒロインは頬杖をついて、本日数えきれないほどついた溜息をまた溢した。





　ヒロインがタークスに配属されてから今まで、レノにからかわれない日はない。



　毎日腹を立てて泣かされて、そして落ち込む。



　その繰り返しだ。



　優しい言葉など掛けてもらった記憶がない。



「何でまだ好きなんだろう…」



　無意識のうちに本音を洩らしたヒロインははっとしてオフィス中を見回した。



　誰の姿もない。

　気配もしない。



　ヒロインはほっと胸を撫で下ろした。



　誰にも知られたくない本当の思い。



　特にレノ本人には。



「あーもう、やめやめ！」



　考えれば考えるほど落ち込む。



　ヒロインは無理矢理思考を断ち切った。



「報告書でも書くか」



　ヒロインは自分を奮い立たせて、パソコンの電源を入れた。










　今頃レノはあの女性とよろしくやっているのだろうか。



　きっと自分をネタに話をしているに違いない。




　パソコンの画面に向かって約１時間。



　そんなことばかり考えてしまい、一向に報告書が捗らない。



「やーめた！」



　ヒロインはパソコンの電源を切った。



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