Which Do You Like?
ヒロイン
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今日もヒロインは先に来てブランコに座っていた。
そして、俺を見つけると笑って手招きした。
「はい」
ヒロインに渡されたのは、いつも俺が買ってきていた缶コーヒー。
「お、サンキュ」
俺は受け取ったそれが、熱を失っていることに気付いた。
こいつ、何時から待ってたんだ?
ヒロインの様子を見ると、すっかり外気に晒されている肌は白くなっている。
缶を開けようとする指も、プルタブを弾いてばかりだ。
「ほら、貸せよ、と」
ヒロインから缶を受け取り、蓋を開けてやった。
「ありがと」
コーヒーを一口飲んだヒロインが、ほっとしたように息をついた。
言わなきゃな。
俺は意を決した。
「ヒロイン、俺が最初に言ったこと覚えてるか?」
「ん。覚えてるけど…」
ヒロインがすっと俺から目を逸らした。
「もう一度聞く。タークスになるか?」
ヒロインはしばらく間を置いて、首を横に振った。
「そうか…」
予想どおりの答え。
もうここにいる理由はない。
俺は黙ってヒロインに背を向けた。
「もう1つの方は聞かないの?」
もう1つの方は――
たぶん、答えを聞きたくないんだ。
俺は振り返れなかった。
「私と付き合うのと、このまま黙って別れるの、どっちがいい?」
唐突にヒロインからぶつけられた質問に、俺の心臓が跳ねる。
「コーヒー代、まだ返してもらってないんだよね」
振り返るとヒロインが意地の悪い顔をして笑っていた。
でもその頬は少し赤い。
「…じゃあ、コーヒー代は『俺』だぞ、と」
「えー、それ反則!」
ヒロインが頬を膨らませた。
「コーヒーぐらい、これから幾らでも奢ってやるぞ、と。もっと旨いやつをな」
ツォンさんには、半分成功って報告しとくか。
END
2007/11/04
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そして、俺を見つけると笑って手招きした。
「はい」
ヒロインに渡されたのは、いつも俺が買ってきていた缶コーヒー。
「お、サンキュ」
俺は受け取ったそれが、熱を失っていることに気付いた。
こいつ、何時から待ってたんだ?
ヒロインの様子を見ると、すっかり外気に晒されている肌は白くなっている。
缶を開けようとする指も、プルタブを弾いてばかりだ。
「ほら、貸せよ、と」
ヒロインから缶を受け取り、蓋を開けてやった。
「ありがと」
コーヒーを一口飲んだヒロインが、ほっとしたように息をついた。
言わなきゃな。
俺は意を決した。
「ヒロイン、俺が最初に言ったこと覚えてるか?」
「ん。覚えてるけど…」
ヒロインがすっと俺から目を逸らした。
「もう一度聞く。タークスになるか?」
ヒロインはしばらく間を置いて、首を横に振った。
「そうか…」
予想どおりの答え。
もうここにいる理由はない。
俺は黙ってヒロインに背を向けた。
「もう1つの方は聞かないの?」
もう1つの方は――
たぶん、答えを聞きたくないんだ。
俺は振り返れなかった。
「私と付き合うのと、このまま黙って別れるの、どっちがいい?」
唐突にヒロインからぶつけられた質問に、俺の心臓が跳ねる。
「コーヒー代、まだ返してもらってないんだよね」
振り返るとヒロインが意地の悪い顔をして笑っていた。
でもその頬は少し赤い。
「…じゃあ、コーヒー代は『俺』だぞ、と」
「えー、それ反則!」
ヒロインが頬を膨らませた。
「コーヒーぐらい、これから幾らでも奢ってやるぞ、と。もっと旨いやつをな」
ツォンさんには、半分成功って報告しとくか。
END
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