「んー！久しぶりの太陽！」



　八番街に降り立った私は、ぐーっと伸びをした。



　ここ最近はスラムやオフィスにずっと詰めてたからなぁ。



　やっぱり太陽の光を浴びるのは気持ちいい。



　きっとレノも同じはず。



　そう思って隣にいるレノを見ると――眠そうに目をこすり、大きな欠伸をしていた。



　この男は…！



「ちょっと！なに欠伸してんのよ！」



「何って…出るもんは仕方ないだろ」



「もう！」



　信じらんない！



　なんて不健康な男だろう。



　私はレノを放って、先に歩き出した。



「おーい、どこ行くんだ？」



「買い物！」



　何怒ってるんだ？



　レノが小さくそう言った。



　せっかくのデートで欠伸されたら、怒りたくもなるわよ！



「せっかくのデートなんだから、そうカリカリすんなよ、と」



　誰のせいだ。



　そう口にしかかった言葉は飲み込んで、私は渋々伸ばされたレノの手を取った。










　八番街のLOVELESS通りを目指して歩いていると、明らかに私たちに歩調を合わせている複数の足音があることに気付いた。



　どうやらレノも気付いているらしく、背後を警戒していた。



　私はレノの腕を取って、できるだけ身体をレノに密着させた。



「ねぇ、どう思う？」



「あー、多分当たりだな」



「やっぱり…」



　付けてきているのは反神羅の連中のようだ。



「どうする？」



「非番なんだし、放っとけよ、と」



「そりゃそうだけど…せっかくのデートにオマケ付きは嫌よ」



　レノが頭を掻いた。



「まぁそれもそうだな」



　意見が一致したところで、私たちは目的地を変更した。



　人通りの少ないところに誘い込んで、一気に叩いてやる。



　貴重な休みの時間は、１分たりとも無駄にできない。



　私はレノに目配せして合図を送り、裏路地に飛び込んだ。



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