「自分よう飽きひんな」



　ヒロインがまた呆れたような顔をして言った。



「『自分』じゃなくて、俺の名前はレノだぞ、と」



「あー、レノさん？それで、毎日ここに来るのはどういうわけなん？」



　ヒロインが頬杖を付きながら、どうでもいいけど、と言わんばかりの口調で言った。



　こいつ、気付いてないのかよ…



　俺があれだけアピールしてるってのに、ヒロインの驚異とも言える鈍感さに呆れ果てる。



　俺はヒロインと向かい合うようにし、真っ直ぐヒロインの目を見つめた。



　ヒロインが怪訝そうに眉をひそめる。



「ヒロインが気になるんだぞ、と」



　ぼっ。



　そんな効果音と共に火が吹き出しそうなほど、ヒロインの顔が真っ赤になった。



　あらら、言葉遣いと違って可愛らしいところもあるんだな。



　悪戯心が擽られるな。



　俺はヒロインに追い打ちを掛けるように、一言付け加えた。



「好きだぞ、と」



　ヒロインが完全に固まった。



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