女にだって、逃げちゃいけない戦いがある。



　今戦わなかったら、なんにもなんないのよ！







女の戦い




　やっと終わった…



　もう疲れてくたくた。



　こんな日は、帰ってお風呂入ってビール！



　そんでもって、レノがご飯作っててくれたら最高だけど…無理だろうな。




　何か冷蔵庫に残ってたかな。



　家に残る食材と、それで作れそうな料理を数品考えていると、あっという間に家に着いた。












「ただいま！…って、いい匂い」



　玄関のドアを開けると同時に漂う食欲を刺激する匂い。



　まさか、レノが料理してくれた！？



　私は嬉々としてダイニングへ続く扉を開け放った。




　が。



　そこに広がる光景に、私は絶句した。





　ダイニングテーブルにレノと向かい合って座っているのは、もちろん私じゃない。



　知らない女だ。



　そして、テーブルに所狭しと並ぶ料理の数々。




　何だ、これは。

　何が起こった？

　ここ、私とレノの家…だよね？

　あ、隣のうちと間違えた？

　いやいやいや、あの赤毛はレノだ。

　ってことは、ここは我が家。

　じゃあ、あいつは誰だ？



　入口につっ立って、我が家に起きた異変について考えている私の耳に、わざとらしいまでに可愛く作り込まれた声が届いた。





「あ、お邪魔してますぅ」



　私の眉が吊り上がったのは言う迄もない。



　慌てた様子もなく椅子から立ち上がったその女は、くねくねとした動作でお辞儀した後、口元に勝ち誇ったような笑みを浮かべた。



　さらに私の眉が鋭い三角形を形作った。




　何だ、この女。

　気に食わない。



　が、挨拶されてそれを返さないのは、大人の女としてマナー違反。



　形にならないむしゃくしゃした感情をぐっと押さえつけ、私は満面の笑みを浮かべてみせた。



「あら、いらっしゃい」



　語尾にハートでも付きそうなぐらい会心の声色で、私は目の前の女に答えた。



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