from Heaven with Love
ヒロイン
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空は高い。
世界一高い神羅ビルの屋上からでさえ、まだこんなに遠い。
ベンチに座った彼女は、空を見上げていた。
ヘッドホンを付けて、外界の音をすっかり遮断して。
俺がヒロインに会ったのは、ほんの1週間前。
8番街の公園だった。
出会った瞬間に、ヒロインの持つ不思議な雰囲気に惹かれた。
ヒロインは脇目も振らず、ひたすら空を仰いでいた。
地上には興味がないと言わんばかりに、ずっと上ばかり見ていた。
そんなヒロインに俺は不躾に声を掛けた。
「空、好きなのか?」
ヒロインは気付いていないのか全く反応を示さなかった。
しばらく待ってみたが、返答はない。
俺が諦めてヒロインから離れようとしたとき、突然時間が動きだした。
「もうすぐ、あそこに行くから」
鈴を転がすような声音で、彼女は奇妙な言葉を吐いた。
俺が面食らって立ち尽くしていると、ヒロインが初めて視線を空から放した。
「もうすぐ死ぬの」
そこには何の感情もなかった。
悲哀も、歓喜も、憎悪もなく、全て一緒になって跡形もなく消え去った――そんな感じだった。
「もっと近くで見せてやるぞ、と」
気が付けば俺は、ヒロインの手を取り、歩きだしていた。
同情?
いや、違う。
何かよくわからないものに突き動かされて、俺はヒロインの手を引いていた。
「名前は?」
今日会って、もうすぐ死ぬという女の名前を聞いてどうなるというのか。
きっとすぐ忘れる。
これは気紛れ。
暇を紛らわす遊びのようなもの。
「…ヒロイン」
「俺は、レノだ」
.
世界一高い神羅ビルの屋上からでさえ、まだこんなに遠い。
ベンチに座った彼女は、空を見上げていた。
ヘッドホンを付けて、外界の音をすっかり遮断して。
俺がヒロインに会ったのは、ほんの1週間前。
8番街の公園だった。
出会った瞬間に、ヒロインの持つ不思議な雰囲気に惹かれた。
ヒロインは脇目も振らず、ひたすら空を仰いでいた。
地上には興味がないと言わんばかりに、ずっと上ばかり見ていた。
そんなヒロインに俺は不躾に声を掛けた。
「空、好きなのか?」
ヒロインは気付いていないのか全く反応を示さなかった。
しばらく待ってみたが、返答はない。
俺が諦めてヒロインから離れようとしたとき、突然時間が動きだした。
「もうすぐ、あそこに行くから」
鈴を転がすような声音で、彼女は奇妙な言葉を吐いた。
俺が面食らって立ち尽くしていると、ヒロインが初めて視線を空から放した。
「もうすぐ死ぬの」
そこには何の感情もなかった。
悲哀も、歓喜も、憎悪もなく、全て一緒になって跡形もなく消え去った――そんな感じだった。
「もっと近くで見せてやるぞ、と」
気が付けば俺は、ヒロインの手を取り、歩きだしていた。
同情?
いや、違う。
何かよくわからないものに突き動かされて、俺はヒロインの手を引いていた。
「名前は?」
今日会って、もうすぐ死ぬという女の名前を聞いてどうなるというのか。
きっとすぐ忘れる。
これは気紛れ。
暇を紛らわす遊びのようなもの。
「…ヒロイン」
「俺は、レノだ」
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