Good-by.
ヒロイン
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ヒロインを傷つけたのは明白だった。
誰よりも大切な人を、俺は裏切った。
ヒロインを追い掛けることすら思いつかず、俺はヒロインの落としていったものを見つめた。
スーパーの袋から転がり出ていたのは、カレー粉とじゃがいも、にんじん――りんご。
――お、カレーか。
――うん。
――いい匂いだな、と。
――もう少しで完成。
――楽しみだな。
――美味い!
――ありがと。
――何か入れたのか?
――内緒。今度教えてあげる。
袋から出たものを拾い上げると、いつかした会話が自然と思い出された。
何やってんだ、俺は。
俺は取るものもとりあえず、部屋を飛び出した。
女の怒声も聞こえたが、それよりヒロインだ。
――ほら、見て。
――ん?
――小さなつぼみ、できてるよ。
――気付かなかったな。
――どんな花、咲くんだろうね。
――きっとヒロインに似て可愛い花だぞ、と。
――私は、レノの髪みたいに真っ赤な花が咲く気がする。
――楽しみだな。
――うん。一緒に見られたらいいね。
そんな時間が経ったわけではないと思ったが、ヒロインの姿はどこにもなかった。
通りそうな道も、行きそうな所も全部探したが、ヒロインを見つけることはできなかった。
家に帰ったのだろうか?
確か、スラムに小さな部屋を借りているって言ってたか。
俺は駅に足を向けた。
――ヒロイン。
――どうしたの?
――ずっとここにいろよ。
――…無理だよ。
――何で…
――住む世界が違うもの。たぶん、次が最後。
――…そうか。
許されない恋だと、初めからわかっていた。
ヒロインと俺は、敵同士だから。
次が最後。
それが今日だったんだな。
例えいつか別れの日が来るとしても、ヒロインを傷付けたまま別れられない。
薄暗いスラムの駅に降り立った俺は、真っ直ぐヒロインの家に向かった。
.
誰よりも大切な人を、俺は裏切った。
ヒロインを追い掛けることすら思いつかず、俺はヒロインの落としていったものを見つめた。
スーパーの袋から転がり出ていたのは、カレー粉とじゃがいも、にんじん――りんご。
――お、カレーか。
――うん。
――いい匂いだな、と。
――もう少しで完成。
――楽しみだな。
――美味い!
――ありがと。
――何か入れたのか?
――内緒。今度教えてあげる。
袋から出たものを拾い上げると、いつかした会話が自然と思い出された。
何やってんだ、俺は。
俺は取るものもとりあえず、部屋を飛び出した。
女の怒声も聞こえたが、それよりヒロインだ。
――ほら、見て。
――ん?
――小さなつぼみ、できてるよ。
――気付かなかったな。
――どんな花、咲くんだろうね。
――きっとヒロインに似て可愛い花だぞ、と。
――私は、レノの髪みたいに真っ赤な花が咲く気がする。
――楽しみだな。
――うん。一緒に見られたらいいね。
そんな時間が経ったわけではないと思ったが、ヒロインの姿はどこにもなかった。
通りそうな道も、行きそうな所も全部探したが、ヒロインを見つけることはできなかった。
家に帰ったのだろうか?
確か、スラムに小さな部屋を借りているって言ってたか。
俺は駅に足を向けた。
――ヒロイン。
――どうしたの?
――ずっとここにいろよ。
――…無理だよ。
――何で…
――住む世界が違うもの。たぶん、次が最後。
――…そうか。
許されない恋だと、初めからわかっていた。
ヒロインと俺は、敵同士だから。
次が最後。
それが今日だったんだな。
例えいつか別れの日が来るとしても、ヒロインを傷付けたまま別れられない。
薄暗いスラムの駅に降り立った俺は、真っ直ぐヒロインの家に向かった。
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