オール・デリート
ヒロイン
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「ねぇ、今日は会える?」
電話越し。
私はいつものようにレノに言った。
『あー、無理だぞ、と』
素っ気ないレノの言葉とともに聞こえるのは、今日も女性の笑い声。
ひどく自分が惨めに思えて、私は「そう」と短く答えて通話を終えた。
居場所がない。
そう思うようになったのはいつからだったろう。
静まり返った真っ暗な部屋で一人、私は膝を抱えて俯いた。
『レノの彼女』という唯一の拠り所も、今はもう虚しいだけ。
私の隣以外にも、レノには居場所がたくさんある。
でも、私には――
他にないの。
私はレノを通じた繋がりしかなくて。
だから、この居場所が誰かが簡単に取って代われるものだと知っていても、失うのが怖くて見て見ぬふりをしていた。
でも。
「寂しいよ…レノ」
私の呟きは、誰に拾われることもない。
もう、辛すぎるよ。
全部消えたらいい。
私も。
レノも、皆全部消えてしまえばいい。
オール・デリート。
END
2006/06/03
.
電話越し。
私はいつものようにレノに言った。
『あー、無理だぞ、と』
素っ気ないレノの言葉とともに聞こえるのは、今日も女性の笑い声。
ひどく自分が惨めに思えて、私は「そう」と短く答えて通話を終えた。
居場所がない。
そう思うようになったのはいつからだったろう。
静まり返った真っ暗な部屋で一人、私は膝を抱えて俯いた。
『レノの彼女』という唯一の拠り所も、今はもう虚しいだけ。
私の隣以外にも、レノには居場所がたくさんある。
でも、私には――
他にないの。
私はレノを通じた繋がりしかなくて。
だから、この居場所が誰かが簡単に取って代われるものだと知っていても、失うのが怖くて見て見ぬふりをしていた。
でも。
「寂しいよ…レノ」
私の呟きは、誰に拾われることもない。
もう、辛すぎるよ。
全部消えたらいい。
私も。
レノも、皆全部消えてしまえばいい。
オール・デリート。
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