無防備な薬指
ヒロイン
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ヒロインとはただの友達。
別に付き合っているわけではない。
互いの都合が合えば会って、時には身体も重ねる。
それでも『恋人同士』ではない。
最初はそれでもよかったんだ。
でも――
ヒロインが同僚と付き合うかもしれないから俺との関係を終わらせると切り出したとき、何故か心がざわついた。
いなくなるとわかって初めて、ヒロインが俺の中で大きな存在になっていたと気付いた。
確かなものがない二人の関係は、呆気なく終わりを告げた。
‐無防備な薬指‐
ヒロインが俺の傍からいなくなって半年。
今、俺の薬指にはシルバーリングが一つ。
ヒロインとの関係が終わってすぐできた『彼女』から贈られたペアリングだ。
昼。
オフィスでタバコを吸いながら、指から外したリングを目の前に掲げて眺めてみる。
ただ薬指に指輪があるだけで、ちょっとした枷ができる。
身体にも心にも。
人を縛ることがこんなに簡単だと思わなかった。
ヒロインとは『恋人同士』ではなかったけれど、あいつのあまりに無防備だった薬指に、この小さな枷をはめておけばよかった。
ヒロインの薬指には今、枷がはめられているんだろうか。
ふとヒロインの細い指を思い出し、俺は持っていた指輪をスーツのポケットに突っ込んだ。
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別に付き合っているわけではない。
互いの都合が合えば会って、時には身体も重ねる。
それでも『恋人同士』ではない。
最初はそれでもよかったんだ。
でも――
ヒロインが同僚と付き合うかもしれないから俺との関係を終わらせると切り出したとき、何故か心がざわついた。
いなくなるとわかって初めて、ヒロインが俺の中で大きな存在になっていたと気付いた。
確かなものがない二人の関係は、呆気なく終わりを告げた。
‐無防備な薬指‐
ヒロインが俺の傍からいなくなって半年。
今、俺の薬指にはシルバーリングが一つ。
ヒロインとの関係が終わってすぐできた『彼女』から贈られたペアリングだ。
昼。
オフィスでタバコを吸いながら、指から外したリングを目の前に掲げて眺めてみる。
ただ薬指に指輪があるだけで、ちょっとした枷ができる。
身体にも心にも。
人を縛ることがこんなに簡単だと思わなかった。
ヒロインとは『恋人同士』ではなかったけれど、あいつのあまりに無防備だった薬指に、この小さな枷をはめておけばよかった。
ヒロインの薬指には今、枷がはめられているんだろうか。
ふとヒロインの細い指を思い出し、俺は持っていた指輪をスーツのポケットに突っ込んだ。
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