あいつを酔わせる方法。
ヒロイン
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ヒロインは酒が強い。
俺もまぁ弱いほうじゃないが、飲み比べたら負けるだろう。
いつも顔色一つ変えずに酒を飲むヒロインだけに、酔ったらどうなるか興味あるな。
酔って甘えてくれたら、最高なんだけどな。
‐あいつを酔わせる方法‐
「おーいヒロイン、飲みに行くぞ、と」
定時になって残りの仕事を後輩に押しつけた俺は、右斜め前に座っているヒロインに声を掛けた。
仕上げた報告書をまとめていた手を止め、ヒロインが顔を上げる。
「ん、わかった。あ、さっきザックスからも飲みに行こうってメール来たから、誘うね」
ザックスからメールだと?
あの野郎…油断も隙もないな。
本当は二人でゆっくり飲みたかったが、にこっと笑ったヒロインに負けて、俺は快く了承した振りをした。
とりあえず、ザックスには一撃見舞うとしよう。
合流場所を決め、帰り支度をするヒロインを待って、俺たちは会社を出た。
そして、いつもの店の前でしばらく待つと、ザックスがやってきた。
「よぉ、待たせたな!」
笑顔で手を振っていたザックスの顔が強ばった。
何故って、俺が殺気混じりの目で睨み付けたからだ。
どうやら、何で俺が睨んだのかわかっているらしい。
「ヒロイン、先入って席取っといてくれよ」
ヒロインは不思議そうな顔をしたが、素直に先に入っていった。
「じゃあ俺も…」
「お前はこっちだぞ、と」
冷や汗をかきながら、俺の脇を抜けてヒロインのあとに続こうとしたザックスを、満面の笑みを浮かべて止めた。
「いつからメールする仲になったのかな、と」
指を鳴らして詰め寄ると、あいつは両手を上げて数歩下がる。
「いやほら!友達の一人として、お前が残業の日にヒロインちゃんが寂しくないように――うっ!」
口元をひくつかせた俺は、問答無用でザックスの鳩尾に拳を見舞った。
「悪ぃな、気ぃ遣わせて」
腹を押さえるザックスに涼しい顔を向け、俺はさっさと店に入った。
「悪ぃと思ってんなら、少しは手加減しろよ…」
.
俺もまぁ弱いほうじゃないが、飲み比べたら負けるだろう。
いつも顔色一つ変えずに酒を飲むヒロインだけに、酔ったらどうなるか興味あるな。
酔って甘えてくれたら、最高なんだけどな。
‐あいつを酔わせる方法‐
「おーいヒロイン、飲みに行くぞ、と」
定時になって残りの仕事を後輩に押しつけた俺は、右斜め前に座っているヒロインに声を掛けた。
仕上げた報告書をまとめていた手を止め、ヒロインが顔を上げる。
「ん、わかった。あ、さっきザックスからも飲みに行こうってメール来たから、誘うね」
ザックスからメールだと?
あの野郎…油断も隙もないな。
本当は二人でゆっくり飲みたかったが、にこっと笑ったヒロインに負けて、俺は快く了承した振りをした。
とりあえず、ザックスには一撃見舞うとしよう。
合流場所を決め、帰り支度をするヒロインを待って、俺たちは会社を出た。
そして、いつもの店の前でしばらく待つと、ザックスがやってきた。
「よぉ、待たせたな!」
笑顔で手を振っていたザックスの顔が強ばった。
何故って、俺が殺気混じりの目で睨み付けたからだ。
どうやら、何で俺が睨んだのかわかっているらしい。
「ヒロイン、先入って席取っといてくれよ」
ヒロインは不思議そうな顔をしたが、素直に先に入っていった。
「じゃあ俺も…」
「お前はこっちだぞ、と」
冷や汗をかきながら、俺の脇を抜けてヒロインのあとに続こうとしたザックスを、満面の笑みを浮かべて止めた。
「いつからメールする仲になったのかな、と」
指を鳴らして詰め寄ると、あいつは両手を上げて数歩下がる。
「いやほら!友達の一人として、お前が残業の日にヒロインちゃんが寂しくないように――うっ!」
口元をひくつかせた俺は、問答無用でザックスの鳩尾に拳を見舞った。
「悪ぃな、気ぃ遣わせて」
腹を押さえるザックスに涼しい顔を向け、俺はさっさと店に入った。
「悪ぃと思ってんなら、少しは手加減しろよ…」
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