ゴスッ！




　俺の右ストレートがロッドの顔面を捉えた。



　そのままロッドはヒロインに倒れこみ、死んだように眠り始めた。



　まぁ、本当に死んでても構わないんだけどな。




　ロッドを押し退けてやっと酔っ払いから解放されたヒロインは、ほっとしたように息をついた。



「はぁ…ありがとう、レノ」



　押し倒された割に、ヒロインはけろっとした顔をして立ち上がった。



　あまりに危機感のないヒロインに、俺の顔が険しくなる。



「お前なぁ…今危なかったんだぞ。少しは気を付けろよ！」



　ついきつい口調で言ってしまい、気が付けばヒロインはしゅんとして下を向いていた。




「…ごめんなさい」




　ヒロインは消え入りそうな声で謝罪した。



　あー、やっちまった。


　こんなつもりじゃなかったのに。




「…悪い、言い過ぎた。なぁヒロイン、俺腹減ったからメシ付き合ってくれよ、と」



　まだ飲めるだろ？



　そう言ったら、ヒロインは笑って答えてくれた。




「今度から気を付けるわ。心配してくれて、ありがとう」




　ヒロインは差し出した俺の手をぎゅっと握った。



→おまけ