旧拍手小説集
ヒロイン
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春とタバコと
新しい季節の訪れを肌で感じるようになった頃。
昼下がりの公園で私は最後のタバコに火を点けた。
深く吸い込み、先端が赤くなったのを確認して口を放した。
残ったのは苦いような煙たいような味と、いつもの匂い。
最初のこれは、何度やっても慣れない。
私はしかめ面で、持っていたペットボトルの蓋を開けて、中の液体で口を濯いだ。
「まっず…」
タバコは好きじゃない。
でも、この匂いは好き。
暖かな陽気の中で香る独特の煙の匂いは、あの人の匂い。
血と硝煙と、それに混ざってするこの匂いが何より好きだった。
「レノ――」
今、どうしているんだろう。
今から私が殺しに行くと知ったら、どんな顔をするんだろう。
きっとこれから先も、この季節とこの匂いで、私は彼を思い出す。
フィルターの近くまで火が届いたタバコを消して、私は立ち上がった。
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新しい季節の訪れを肌で感じるようになった頃。
昼下がりの公園で私は最後のタバコに火を点けた。
深く吸い込み、先端が赤くなったのを確認して口を放した。
残ったのは苦いような煙たいような味と、いつもの匂い。
最初のこれは、何度やっても慣れない。
私はしかめ面で、持っていたペットボトルの蓋を開けて、中の液体で口を濯いだ。
「まっず…」
タバコは好きじゃない。
でも、この匂いは好き。
暖かな陽気の中で香る独特の煙の匂いは、あの人の匂い。
血と硝煙と、それに混ざってするこの匂いが何より好きだった。
「レノ――」
今、どうしているんだろう。
今から私が殺しに行くと知ったら、どんな顔をするんだろう。
きっとこれから先も、この季節とこの匂いで、私は彼を思い出す。
フィルターの近くまで火が届いたタバコを消して、私は立ち上がった。
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