騒ぎを聞き付けやってきた警備兵が野次馬の整理を始める。




　遅れて来たタークスと一般兵は、レノが殴り殺した男の死体処理を行う。





　しかし、騒然とする入口前の様子はレノに届かなかった。






「ヒロイン…？」





　冷たい地面に接していたヒロインの身体は冷えきっていた。





　抱き上げたときに、スーツを通してもそれが伝わる。





　顔も青白い。





「ヒロイン…目、覚ませよ、と」





　いつもなら笑って名前を呼んでくれたヒロインの顔には、表情がない。






　まだヒロインが抱きかかえているレノのコートは、ヒロインの血を吸ってぐっしょりと濡れていた。





「ヒロインっ！頼むから――」








　もう一度笑って。







　レノは、きつくヒロインを抱き締めた。



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