ぐちゃ。



（やっば…）




　様子を伺うと、ヒロインは気付いたようで眉をひそめていた。




「レノ？」




　ヒロインの眉間に皺が寄る。



　レノは取り繕ったような笑顔で後退ると、こっちを訝しみながら、ヒロインが自分の背中に手を遣った。





「あー！」





　そこに付いていたのは生クリーム。



　レノが買ってきて、忘れてヒロインごと抱き締めたケーキ――の残骸。




「せっかくお洒落したのに…」




　うるうると大きな目を潤ませるヒロインに困ってしまい、レノは頭を掻く。





「あー、その……そうだ！ケーキごとヒロインのこと食ってやるぞ、と」



　いいことを思いついたと、レノは満面の笑みでヒロインを抱き上げた。




「今日だけだからね」



　ヒロインは頬を赤く染めながら、レノの首に腕を回した。



END


2006/01/10


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