「ねぇ、今日何時に帰ってくる？」




　いつものように二人で朝食を食べながら、いつものように、いつもの調子でヒロインが聞いた。




「んー、いつも通りだぞ、と。残業がなければな」




　すでに日課となりつつあるその会話に、レノもいつも通り答えた。



　さして意味のある会話ではないが、きちんと答えてやることでヒロインが安心するのをレノはわかっている。



　自分の仕事柄いつどこで何があるかわからない。



　ヒロインもそれがわかっているから、毎日確認するように聞いてくる。




　そしてその後、必ずこう言う。





「待ってるから、ちゃんと帰ってきてね」





　レノはこの瞬間が一番好きだった。




　自分の帰る場所が存在する。



　それだけで、レノの心は安らかになる。





「わかってるぞ、と」





　笑ってレノは答えた。



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