「へ？」




　中途半端な笑い顔のまま、私は声のした方を見た。



　レノはにやっと意地悪く笑っている。




　ヤバい…何か企んでるときの顔だ。





「ヒロイン～」




　猫撫で声を出すレノ。




　来た――！





　そう思って私は身を堅くして身構えた。




　が。




「寂しかったぞ、と」





　レノは起き上がって抱きついてきた。



　これには私の方がびっくりする。




「え、レノ？」




　どうしたの？と聞くと、レノにますますぎゅっと抱き締められる。




「ヒロインがテレビばっか見てるからだぞ」




　レノは私の首筋に顔を埋めたまま動かない。



　泣いてる？




　そう思ったら胸が痛くなって、私はレノの髪を優しく撫でた。




「ごめんね、一人にして。もうしないから」



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