I wish...
ヒロイン
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ヒロインっ!」
遠くから聞こえた、あの人の声に私は立ち止まった。
振り向きたいような、振り向きたくないような。
会いたいような、会いたくないような。
私の複雑な気持ちに構わず、レノは私の腕を掴んで引っ張った。
「心配、したんだぞ、と」
レノにきつく抱き締められた私は、レノの心臓がドクドクドク、と早鐘を打っているのに気付いた。
心なしか呼吸も荒い。
捜し回ってくれたの?
「…どうして?」
「ヒロインが好きだから」
公衆の面前で「好きだ」とさらりと口され、私の顔が赤くなる。
周りの人の注目も集めているような気がして、私は顔を上げられなかった。
「ほら、帰るぞ」
レノが来てくれた。
ただそれだけで、女の人のこととか、いろんなことで悩んでいたのがバカらしくなって、私は小さく頷いた。
「これ、ヒロインに貸してやるぞ、と」
レノは自分が巻いていた黒のマフラーを取って、私に巻いてくれた。
どこか見覚えのあるそれ。
「あー!これ、私が買ったやつ!」
「誰にあげるつもりだったか知らないけど、捨ててあったから貰ってやったぞ」
わかっているくせに、素知らぬ振りをしている意地悪なレノに、私は頬を膨らませる。
やっぱ腹立つ!
「あぁ、これ?一年間自分勝手な赤毛の彼氏に振り回された自分のために買ったの」
あんたのために買ったんじゃないからね。
暗にそう意味を込めて、ふんとそっぽを向くと、レノが困ったように頭を掻いた。
「今日は悪かったぞ、と!機嫌直せよ、な?」
必死で私の機嫌を取ろうとするレノが可笑しくて、笑いを噛み殺す。
あんまり意地悪しても可哀想かな。
「帰ってご飯食べよっか。あ、おっきなクリスマスケーキ欲しいなぁ」
「そう言うと思って買っておいたぞ、と」
得意気に言うレノ。
「以心伝心、だね」
「愛し合ってるからな」
「あ、一方通行じゃなかったんだ」
サンタさん、私の願いを叶えてくれてありがとう。
.
遠くから聞こえた、あの人の声に私は立ち止まった。
振り向きたいような、振り向きたくないような。
会いたいような、会いたくないような。
私の複雑な気持ちに構わず、レノは私の腕を掴んで引っ張った。
「心配、したんだぞ、と」
レノにきつく抱き締められた私は、レノの心臓がドクドクドク、と早鐘を打っているのに気付いた。
心なしか呼吸も荒い。
捜し回ってくれたの?
「…どうして?」
「ヒロインが好きだから」
公衆の面前で「好きだ」とさらりと口され、私の顔が赤くなる。
周りの人の注目も集めているような気がして、私は顔を上げられなかった。
「ほら、帰るぞ」
レノが来てくれた。
ただそれだけで、女の人のこととか、いろんなことで悩んでいたのがバカらしくなって、私は小さく頷いた。
「これ、ヒロインに貸してやるぞ、と」
レノは自分が巻いていた黒のマフラーを取って、私に巻いてくれた。
どこか見覚えのあるそれ。
「あー!これ、私が買ったやつ!」
「誰にあげるつもりだったか知らないけど、捨ててあったから貰ってやったぞ」
わかっているくせに、素知らぬ振りをしている意地悪なレノに、私は頬を膨らませる。
やっぱ腹立つ!
「あぁ、これ?一年間自分勝手な赤毛の彼氏に振り回された自分のために買ったの」
あんたのために買ったんじゃないからね。
暗にそう意味を込めて、ふんとそっぽを向くと、レノが困ったように頭を掻いた。
「今日は悪かったぞ、と!機嫌直せよ、な?」
必死で私の機嫌を取ろうとするレノが可笑しくて、笑いを噛み殺す。
あんまり意地悪しても可哀想かな。
「帰ってご飯食べよっか。あ、おっきなクリスマスケーキ欲しいなぁ」
「そう言うと思って買っておいたぞ、と」
得意気に言うレノ。
「以心伝心、だね」
「愛し合ってるからな」
「あ、一方通行じゃなかったんだ」
サンタさん、私の願いを叶えてくれてありがとう。
.