「あれ？何か…」



　ヒロインが何か言おうとしたとき、ふっと明かりが消えた。



　一瞬で暗闇になり、さすがのレノもわけがわからず戸惑う。



「ヒロイン？」




　さっきまでヒロインの姿があった場所に目を凝らすと、ぼんやりとヒロインを確認でき、レノは胸を撫で下ろす。




　暗闇に慣れてきた目でヒロインを見ると、ヒロインがぼーっと空を見上げていた。




「ヒロイン？」



　少し様子が違うヒロインに、レノは恐る恐る声を掛けた。




「ねぇレノ。見て…」



　繋いでいない方の手でヒロインがゆっくりと上を指差した。



　ヒロインが指し示す方を見やると、そこには。








　高層ビルに切り取られた満天の星空があった。




　見事なそれに、レノも思わず見とれる。





　恍惚とした表情で空を見上げていたヒロインが言った。





「すごいね」




「あぁ…」





　ミッドガルで見ることは適わないと思っていた星空を見ることができた感動を、表現する言葉が見つからない。



　少し歯痒い思いをしながら、レノは空を見ていた。






　二人はしばらく、黙って空を見上げていた。



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