俺はコーヒーのカップを持ち上げ口をつける。





　正面に座るヒロインは、憂いた表情を浮かべたまま顔を上げない。







「俺はヒロインにそんな顔させてばっかりだな、と」




　俺は自嘲気味に笑った。






「…ごめんなさい」




　消えてしまうんじゃないかと思うほど、ヒロインは身体を小さくさせた。







　そんなヒロインを見て、俺は悲しくなった。










　俺じゃヒロインを幸せにできない。











　今のヒロインが、嫌というほど俺にその事実を突き付けた。



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