「…あの」




　ヒロインが恐る恐るといった感じで言葉を発した。




「ん？」




　俺は軽く相槌を打ち、ヒロインが話すのを待つ。




　唾を飲んだのか、ヒロインの細く白い喉が動いた。





「…あ、あの。私、人を待ってるんです。だから――」



「男、待ってんのか？」




　だから一緒にいられません。




　たぶんそう言おうとしたヒロインを制し、俺は聞いた。







　そして。





　返ってきたのは聞きたくなかったもので――









　ヒロインをこの場で辱めてやりたくなる衝動を抑え、俺はヒロインから離れた。



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