軍事学校を卒業し、ヒロインは希望どおりタークスに配属された。



　憧れの人、タークスのエースであるレノと一緒に働けると思い、初日はうきうきしてオフィスの入口をくぐったものだった。



　しかし朝礼時間にレノはおらず、任務かと思っていたヒロインの前に、レノは堂々と遅刻して現れた。



　思い描いていたレノ像にヒビが入る。




　さらにヒロインのレノ像をぶちこわす一言が放たれた。





「俺は手間が掛かるだけで役に立たない新人の面倒なんてみませんよ、と」





　この一言で、ヒロインはレノに対して憧れの感情から苦手意識を持つようになった。




　レノとの甘い出会いを想像していたヒロインが描く理想のレノ像は、あっけなく崩れていった。







　月日は流れ、ヒロインがタークスに入ってから半年が経った。




　ヒロインは新人にしては筋がよく、任務も完璧にこなしていた。



　それは容易いものだったが、自分に対する評価が着実に上がっているのがわかり、ヒロインは充実した毎日を送っていた。




　このように、仕事は順調なヒロインにも、ただ一つ悩みがあった。



　それは、レノのこと。




　方々で聞く噂――遊び人だ、女たらしだ、捨てた女は数知れず――で、ますますレノへの評価は下がる。



　すでにヒロインの中に憧れのレノはおらず、代わりに遊び人のイメージが付いた。



　さらに本人には、新人だというだけでおちょくられ、ヒロインがレノを敬遠するのも無理はなかった。



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