男たちの背後から突然聞こえた声に、私へと伸ばされた手が止まり、全員が振り返った。





　男たちの隙間から見えたのは、ロッドで肩を叩きながら立つ、派手な赤髪の男。




　コツコツと靴音を響かせ、赤髪の男はこちらへ近づいてきた。





　周りにいた男の一人が、私に馬乗りになっている男に耳打ちした。




「ヤバいですよ。あいつ、タークスのレノです」




　タークス？



　レノ？



　聞き慣れない言葉に私の頭の中に『？』が浮かぶ。




　ふと私の腹の上にいる男を見ると、先程までと打って変わって青白い顔をして震えていた。







「おい、オッサン。どうして俺がここに来たか、わかってるよな？」




　ロッドで肩を叩くのをやめ、レノという男は不敵な笑みを浮かべた。




　馬乗りになっていた男が私の上からどき、レノに向き直る。




「タークスかなんだか知らんが、俺の楽しみを邪魔してタダで済むと思うなよ！」




　明らかにそれは強がりにしか聞こえなかった。




「楽しみ、だと。女を暴行するのがか？」




　レノは鼻で笑うと、ロッドを真っすぐ男に向けて言った。




「笑わせるなよ、と」




　レノの顔はもう笑っていない。



　キッと鋭い目で男を睨んだ。



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