「これで借金チャラにしてくれよ」



「あぁ、約束だ」




　借金？


　約束！？





　今では廃墟と化した薄暗いビルの中。



　私は、自分の彼氏と知らない男たちの会話を唖然として聞いていた。



　さっぱり状況が飲み込めない。





「悪いな、ヒロイン。俺のこと愛してるなら…わかってくれるよな？」




　くいっと片手で私の顎を上げ、軽いキスを私の唇に落とす。



　そして、にやっと笑うと私の彼氏（と思っていた人）は去っていった。






　残されたのは私と見知らぬ男たち。






　心細いと言うよりは、私の中は裏切られたという怒りと絶望感でいっぱいだった。









　これは、私の生涯で最低最悪な日の話。



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