Never forget you.
ヒロイン
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夜の病院は薄暗くて気味悪い。
「あ、イリー…」
角を曲がった先に、金髪を見付け、声を掛けようとしたが、もう一人いることに気付き、私は口を手で押さえた。
漆黒のスーツと髪が闇に溶け込み、一見しただけでは、いるのかいないのかわからない。
見知らぬ人物に警戒し、自然と物陰に身を潜めた。
「イリーナ、ヒロインは?」
「今は、眠ってます。怪我も特にありません」
どうやら、黒髪の男性はイリーナの上司らしい。
と言うことは、私の上司でもあるということ。
挨拶した方がいいかな。
「でも、記憶が…」
イリーナのこの一言に、私の体は凍り付いた。
なぜか、今出るべきではないことはわかっていた。
むしろ、病室に戻った方がいいことも。
「レノ先輩のことも…覚えてなくて…私…どうしたらいいか……」
イリーナの涙混じりの声が静かな病院に響く。
戻らなきゃ…
頭で思っていても体がこの場に貼りついたように動かない。
「レノのことは言ったのか?」
嫌、聞きたくない!
「言えるわけないじゃないですか!レノ先輩が――」
止めて!
思い出させないで!
「レノ先輩が、ヒロインを庇って――」
「いやぁぁ!!」
.
「あ、イリー…」
角を曲がった先に、金髪を見付け、声を掛けようとしたが、もう一人いることに気付き、私は口を手で押さえた。
漆黒のスーツと髪が闇に溶け込み、一見しただけでは、いるのかいないのかわからない。
見知らぬ人物に警戒し、自然と物陰に身を潜めた。
「イリーナ、ヒロインは?」
「今は、眠ってます。怪我も特にありません」
どうやら、黒髪の男性はイリーナの上司らしい。
と言うことは、私の上司でもあるということ。
挨拶した方がいいかな。
「でも、記憶が…」
イリーナのこの一言に、私の体は凍り付いた。
なぜか、今出るべきではないことはわかっていた。
むしろ、病室に戻った方がいいことも。
「レノ先輩のことも…覚えてなくて…私…どうしたらいいか……」
イリーナの涙混じりの声が静かな病院に響く。
戻らなきゃ…
頭で思っていても体がこの場に貼りついたように動かない。
「レノのことは言ったのか?」
嫌、聞きたくない!
「言えるわけないじゃないですか!レノ先輩が――」
止めて!
思い出させないで!
「レノ先輩が、ヒロインを庇って――」
「いやぁぁ!!」
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