夢小説 狗巻棘
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任務でやらかした。補助監督の人がフォローしてくれたけど、初歩的で、酷い失敗だった。もやもやした気分を晴らしたくて、YouTubeで夜更かししていたら、おでこにニキビまでできた。何やっても駄目な時期ってあると思う。多分今がその時期だった。トーストは焦がすし、朝礼には遅刻する、小テストは散々で、真希には一本も取れない。3度投げられた俺はパンダを身代わりに特訓をふけた。こういう時は寝るに限る。お気に入りの昼寝スポットへ向かう。林の抜け道で、一番会いたくない人に遭遇した。ちょうど任務終わりだったらしい。普段は会いたくても入れ違いで会えないのに、調子の悪い時に限ってなぜ顔を合わせてしまうのだろう。「いつも通り」を努めて振る舞う俺を、その人は横目にしげしげと眺めて言う。そうしてると1年の頃みたいだな。でかいニキビを刺激しないように、俺は今前髪を上げているのだ。早めに治して、その人に会う時に備えたかったから。でもそれももう意味がない。しゃけツナ、いくら? やけくそな気分でどっちが好き? と尋ねる。バカ言え、どっちも好きだよ。その人は言いながら、持っていた紙袋をかかげた。出先でもらったんだけど、食い切れねーからやるよ、2年メンツで食ってくれ。しゃけ、すじこ。んじゃお先。遠ざかるその人を見送る。角を曲がるのを見届けた後、俺はくるりと進行方向を変えて、来た道を戻った。はじめは歩いて。そのうちに小走りになり。そして全力で駆けてゆく。木漏れ日のなかで石畳がきらきらしていた。見上げればかんかんに元気な太陽が俺を祝福してる気がした。体の内からじわじわと力がみなぎってきてしょうがない。 4文字の尊い言葉を頭で反芻しながら、踊り出したい気持ちを必死で抑えつける。あーあ俺ってなんて単純なやつ!