夢小説 狗巻棘
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口を離した時、パンプキンケーキ? と尋ねられた。唇を撫でながら言われた言葉に、そういえば歯磨きを忘れていたと思い出す。寮のパーティ終わりに高専奥の林をチャリで突っ切り、その人んちに転がり込んだ俺である。歯磨きくらい忘れても仕方ないと思う。自分なりの語彙で、だって今日会えると思ってなかったし、と言い訳する。その人は、つっても日付変わっちゃったけどな、とふっと笑った。吐かれた息が俺の口に当たって砕けた。それがこそばゆくて、また口を合わせる。寝転ぶその人と、上に乗る俺とでお互いの前髪がさらさら混じった。
俺たちの頭の上、寝室の壁には蜘蛛の巣やお化けの形をしたオーナメントがささやかに飾られている。一階のハロウィン用の電飾を引っ張ってきたらしい。ちゃちいけど電気消すとそれなりにムード出るだろ。にっかり笑うその人をベッドに押し倒して、今に至るわけだけど。童貞みたいに盛り上がるのは許してほしい。だって出張明けで急いで帰ってきてくれて、飾り付けしてくれて、オーブンには俺の好きなパイがあった。好きな人が自分にそんだけ時間割いてくれるって、ちょっとすごく嬉しいことだ。
唇のあわいが触れあう距離で、息継ぎの合間にその人と話す。秘密の話をするような声量で。
主役がこんなとこ来ていいのかよ。こんぶ、めんたい。昼から遊び倒しか、すげー。たかな、ん、いくら……。乙骨パイセンも休み取れたん? しゃけ……塩、むすび、んん、たかな。明日からまた遠出か。しゃ、け、ん、はふ。今日だけでもわいわいできてよかったな。しゃ……ぇう……ふ。聞こえてる?……んぅ…………ん……。声まで甘ぇの。
俺はすっかりその気なのに、くつくつ笑うその人の余裕がすこし憎い。のしかかるように体を密着させて、厚手のニットをまくって直接触る。つめて、と笑う声が相変わらず余裕なので、遠慮なく揉ませてもらった。その人は急ぐなよ、と俺をいさめる。24までの仕事前倒してきたんだぜ、呼び出しはそうそうねーだろ。そう言って俺の首に長い腕が回るので、俺はますますたまらない。いきりたつ腰を擦り付けると、だから急ぐなってぇ、と愉快そうに言われるけど無茶だ。だってそれって、明日まであんたを独占できるってことじゃん、それってまじで最高じゃん。
下を脱がせようとする俺に、あっちょっとタンマ、とストップをかけるその人はけっこう鬼だ。今度は何? はやる気持ちをおさえて聞くとお前明日何もないよな、と確認された。しゃけと即答する。学生には誕生日休暇というめっちゃ良い制度が適用される。んじゃパイセンは聞いたけど、パンダくんとマキちゃんは? 矢継ぎ早に質問される。塩むすびメンテおかか高菜。パンダは学長とメンテで真希は京都だ。23に合わせて色々と無理をしてくれたからである。有難いことだが今のタイミングで何故それを聞く。うらめしく睨む俺に、じゃあ、今日から明日はお前独占してもいいわけだ、とその人は嬉しそうに目を細めた。
大きな胸と腰の曲線が枕元のかぼちゃランプに照らされて、なめらかな影を深めていた。俺はしゃけ、と短く返して、かぼちゃの顔を後ろ向きに回す。舌を絡めるとうなじを大きな手のひらが撫でた。頭の後ろっかわが痺れるような感覚があった。壁にぼんやり光ってる蜘蛛の巣も、枕元の気まずそうなかぼちゃも、ついさっき箱から出して履いたまんまのおろし立てのスニーカーも。夜にそぐわない焼きたてのパイの香りだって。全部が全部、俺の胸をふわふわでいっぱいにして落ち着かない。何だろうこれ、何だっけこれ。抱きしめられて抱きしめて、鼻先を流れる髪の匂いに俺はやっと気づく。多分これ、生きててよかったってやつ。
俺たちの頭の上、寝室の壁には蜘蛛の巣やお化けの形をしたオーナメントがささやかに飾られている。一階のハロウィン用の電飾を引っ張ってきたらしい。ちゃちいけど電気消すとそれなりにムード出るだろ。にっかり笑うその人をベッドに押し倒して、今に至るわけだけど。童貞みたいに盛り上がるのは許してほしい。だって出張明けで急いで帰ってきてくれて、飾り付けしてくれて、オーブンには俺の好きなパイがあった。好きな人が自分にそんだけ時間割いてくれるって、ちょっとすごく嬉しいことだ。
唇のあわいが触れあう距離で、息継ぎの合間にその人と話す。秘密の話をするような声量で。
主役がこんなとこ来ていいのかよ。こんぶ、めんたい。昼から遊び倒しか、すげー。たかな、ん、いくら……。乙骨パイセンも休み取れたん? しゃけ……塩、むすび、んん、たかな。明日からまた遠出か。しゃ、け、ん、はふ。今日だけでもわいわいできてよかったな。しゃ……ぇう……ふ。聞こえてる?……んぅ…………ん……。声まで甘ぇの。
俺はすっかりその気なのに、くつくつ笑うその人の余裕がすこし憎い。のしかかるように体を密着させて、厚手のニットをまくって直接触る。つめて、と笑う声が相変わらず余裕なので、遠慮なく揉ませてもらった。その人は急ぐなよ、と俺をいさめる。24までの仕事前倒してきたんだぜ、呼び出しはそうそうねーだろ。そう言って俺の首に長い腕が回るので、俺はますますたまらない。いきりたつ腰を擦り付けると、だから急ぐなってぇ、と愉快そうに言われるけど無茶だ。だってそれって、明日まであんたを独占できるってことじゃん、それってまじで最高じゃん。
下を脱がせようとする俺に、あっちょっとタンマ、とストップをかけるその人はけっこう鬼だ。今度は何? はやる気持ちをおさえて聞くとお前明日何もないよな、と確認された。しゃけと即答する。学生には誕生日休暇というめっちゃ良い制度が適用される。んじゃパイセンは聞いたけど、パンダくんとマキちゃんは? 矢継ぎ早に質問される。塩むすびメンテおかか高菜。パンダは学長とメンテで真希は京都だ。23に合わせて色々と無理をしてくれたからである。有難いことだが今のタイミングで何故それを聞く。うらめしく睨む俺に、じゃあ、今日から明日はお前独占してもいいわけだ、とその人は嬉しそうに目を細めた。
大きな胸と腰の曲線が枕元のかぼちゃランプに照らされて、なめらかな影を深めていた。俺はしゃけ、と短く返して、かぼちゃの顔を後ろ向きに回す。舌を絡めるとうなじを大きな手のひらが撫でた。頭の後ろっかわが痺れるような感覚があった。壁にぼんやり光ってる蜘蛛の巣も、枕元の気まずそうなかぼちゃも、ついさっき箱から出して履いたまんまのおろし立てのスニーカーも。夜にそぐわない焼きたてのパイの香りだって。全部が全部、俺の胸をふわふわでいっぱいにして落ち着かない。何だろうこれ、何だっけこれ。抱きしめられて抱きしめて、鼻先を流れる髪の匂いに俺はやっと気づく。多分これ、生きててよかったってやつ。