おやすみ
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最上と茂夫
出先で可憐な花が咲いていた。小さな提灯のような白い花だ。ゆるやかな弧を描く茎に、花が6つばかり並んでいる。ふくふくとした花弁はどれも頭を傾けていて、居眠りをしているときの少年を連想させた。せっかくなので文とともに送る。返事は週をまたいだ夜更けに返ってきた。ぼくも虫を見ると最上さんかと思って観察してます、と。よれた紙の隅には肥えた芋虫の絵が描かれていた。色気のない返事に最上は口角を上げ、消しゴムがけの跡を親指で撫でる。寒々しく澄んだ空に三日月が浮かぶ、たいそうきれいな夜だった。
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