最上と茂夫

最上と茂夫は根っこが似ている。そのため対立は珍しくない。口論の末に最上はふんと鼻を鳴らし、いくらかわいくても全てが許されると思ったら大間違いだぞ、と低い声で言った。茂夫は押し黙ったのち、そっちこそ、とぽつり呟く。そして夢を出て行った。残された最上は無意味に腕を組み直したり、茂夫が口をつけた湯飲みを片そうとしてまた戻したりする。夢の外ではまだ夜が続いている。
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