最上と茂夫
お互いの体の隙間を惜しむようなそれを、いくら重ねたところで意味はない。愛している、しかしそれが何を招くかも知っている。言霊さえ恐ろしく感じられ、発することのできない言葉を舌に、指に、視線にのせて白い肌をなぶる。私が触れるたびに熱をもつ、その血潮を送る心臓が狂おしい。安寧と隣り合わせにあった孤独は、すでに手の届かない場所へと遠ざかってしまった。少年よ、怨霊らしくみじめにむせび泣いてみせようか。こんなはずではなかった、キミがいなければ私は私の信じる道を進んでいけた、キミがいなければ私はどんなにか楽だったのにと。
最上さんが悪霊の顔になると、目が黒目がちになってかわいくなる。すこし猫に似ている、かもしれない。でも黒目がちな目が今日は苦しそうにしていたので、ぼくは悲しい気分になった。ぼくは最上さんに会えてよかった、けど最上さんは違うのかな。聞いてみようかと迷い、それを言ったら泣かせてしまう気がしてやめた。最上さんが泣くわけないのに何故かこのときそう感じた。汗でシャツがしんなりしていて、その上から痛いくらい抱きしめられる。眠いし腰が辛い。明日しんどいだろうなと思う。でも背中を撫でる手に集中する。いつか猫にしたときより優しく。耳も尻尾もないけれど、すごく大事な人だから。
最上さんが悪霊の顔になると、目が黒目がちになってかわいくなる。すこし猫に似ている、かもしれない。でも黒目がちな目が今日は苦しそうにしていたので、ぼくは悲しい気分になった。ぼくは最上さんに会えてよかった、けど最上さんは違うのかな。聞いてみようかと迷い、それを言ったら泣かせてしまう気がしてやめた。最上さんが泣くわけないのに何故かこのときそう感じた。汗でシャツがしんなりしていて、その上から痛いくらい抱きしめられる。眠いし腰が辛い。明日しんどいだろうなと思う。でも背中を撫でる手に集中する。いつか猫にしたときより優しく。耳も尻尾もないけれど、すごく大事な人だから。