最上と茂夫
影山茂夫との接触にはエネルギーを使う。床に散乱した衣類を拾いながら最上は大きなため息をつく。手間のかかる子供だ。行為中の超能力の暴発もひどいが、それ以前に不器用すぎる。時間をかけて慣らしてやってるにもかかわらず体は一向に硬いまま。口付けだって勢い任せで、そそられるものはひとつもなし。どこが良くて何が嫌なのか、こちらが尋ねても私の名前をだらしなく繰り返すばかりで要領を得ない。体位に関係なくしがみついてくるせいで前戯だってやりにくいし。今日なんてやけにイくのを我慢しているから、少し意地悪をしてみたところ、「終わったら疲れて寝てしまう。そしたらあんたは出て行くんだろ」と怒鳴り、しまいには泣き出す始末だった。もう高校生になる男児ともあろう者が、 ああも他人の前で泣けるとは。昔ならまず考えられない。ちらと時計を見ればまだ夜明けには遠い時刻で、最上は目の前の赤らんだ鼻をつまんで暇を潰す。すべきことはいくらでもあるのに、あんな風にみっともなくわめかれては朝まで側についてやるほかないではないか。まったく本当に手間のかかる。