最上と茂夫
いつものように最上に抱かれ、必死に着いていくうちにイかされてしまった。胸を上下させながら天井を見上げる茂夫は、自分と最上との経験値の差を憎いと感じ、感じたそのままを最上本人に伝えた。生きた年数と時代を考えれば当たり前のことだったが、好きな人の初めての相手になりたいと願うのも、若い茂夫にとっては当たり前のことだったから。ぼくはあなたしか知らないのに、こんなのって不公平だ。訴える茂夫に、不公平か、と最上は呟き、唇を寄せる。私と違って君の初恋は私じゃないんだろ、それこそよほどの不公平だと思うぞ。耳殻をなぶられながらささやかれたために、最上の言葉を茂夫は正確に掴むことができない。そこ舐めながらしゃべらないでください、なんて言ってるのか聞こえなくなる。体をバラバラにされたのは君が初めてだと言ったんだ。何年前のことですか、しかも、全然フォローになってない……。もういいです、とへそを曲げる茂夫のまなじりは、悔しさからか赤く染まっている。白と赤の濃淡に落とされるキスは今日もとてもやさしい。