最上と茂夫
最上がまだ人間だった頃、深夜番組にて同じ職種の人物と共演したことがある。占いを得意とするらしく、売れっ子さんの運勢も見てあげようかねと腕をまくった彼女は、しばしの沈黙の後つぶやく。あんた随分年下のイイヒトがいるみたいだけど。ええっ〜とわざとらしく司会の男が腰を折るが、最上は笑って否定した。じゃあこれからできるってことだわ。こともなげに言ってのける同業者に、あの時は適当な連中が多いなと呆れたが。そうか。半世紀近い時間が流れ、最上はようやく合点がいく。思えば占い師はたいそう愛想の良い老婦だったのに、その時ばかりは顔が引きつっていた気がしないでもない。まるで変態でも見るような目つきだった。