音駒高校
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研磨が暮らす一軒家
複数のテレビやパソコン、ゲーム機器を置く部屋と生活に必要そうな動線はきちんと片付けられている
しかし、その他まだ使う予定がない部屋に関しては掃除と片付けがいっさい行われていない
「お邪魔してまーす」
○○は彼から預かる鍵で中に入ると台所を見る
(ちゃんとご飯は食べてるね)
流しの横に洗い伏せられる食器を見て彼女は安堵の息を吐く
ゲームやなんやに打ち込み出すと彼は睡眠だけでなく食事も忘れる
その為、彼女はこの家を訪れる度最初にここをチェックする
(返事もなかったし、ゲーム部屋かな)
○○は隣のゲーム部屋の扉を開ける
部屋の中にあるモニターの画面は電源が入りっぱなし立った
ただ、中央のモニターに"END"の文字が浮かび上がっている事から察するに何かしらの形でゲームは一段落ついたのだろう
「研磨?」
モニター前のイスを覗き込むと、研磨はイスの上で足を抱えて眠っている
その手にはゲームのコントローラーが握られている
「もう……コントローラー落とすよ」
○○はコントローラーをゆっくり彼の手から抜き取り机に置く
研磨は特に反応する事なくまだ眠っている
「ちゃんと布団で寝ないと、体休まらないよ」
そう言って彼女は彼を見つめた
(研磨は……私の事ちゃんと好きなのかな……)
ちっちゃな不安が彼女の中で生まれた
彼と恋人関係になって数年が経つ
恋人らしい事はそれなりにした
良いも悪いも通過してきたつもりでいる
ただここの所、研磨は私を見てくれていない気がする
○○の中で不安は徐々に大きく膨れ上がる
長く一緒にいるから空気みたいな存在になっちゃった?
もしかして私が押し付けがましい?
いてもいなくても同じ?
負の思考が全身を支配する
彼女は眠る彼の頭に手を置いた
(研磨……)
高校の時より長い髪
後ろで束ねてはいるが前髪は垂れて顔を隠している
「研磨に私はもういらない?」
「そんな訳ないでしょ」
彼女の呟きに、研磨の声が重なる
その声はすこし怒っているように感じられた
彼は頭にある○○の手を掴んで下ろすと
顔をあげる
「おれには○○がいないと困る」
彼の言葉に○○の中で膨らんでいた不安が弾けた
「困るのは……身の回りの世話がなくなるから?」
一度溢れ出した感情は止まらなかった
「私は研磨のお世話係じゃない!
お母さんとかじゃないし!
今ならネットでなんでもできるんだから、研磨、困んないじゃん!!」
言葉と共に涙もポロポロ溢れた
「ネットとかパソコンとかあれば……私……いらないじゃん……」
ギュッと研磨は、彼女の手を強く握る
そしてその手を引っ張り彼女を抱き寄せる
「○○が、いないと困るよ」
○○の耳元で彼は囁いた
「この例えがあってるかは分からないけど、おれはゲームがなくなるより○○がいなくなる方が困る」
「……」
「ゲームと○○と選べって言われたら絶対に○○選ぶし
ただ、おれからゲームとったらなんも残んないから……○○の方がおれを嫌になるかもしんないけど……」
彼の腕にグッと力が入る
「好きだから」
迷いの無い彼の声が響く
「ちゃんと、○○の事好きだから」
「……本当に?」
「おれは嘘がつける程器用じゃないよ」
○○は顔を上げる
目元は少し赤い
「おれはこんなんだけど、そばにいてよ」
彼女はコクンと頷く
研磨は優しい笑顔を浮べて○○にキスをした