烏野高校
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✤烏野高校オージー
✤養護教諭
✤嶋田と同じ年
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文化祭を翌日に控えた金曜日
保健室で仕事をする○○の元を嶋田は訪れた
「こんにちはー!
烏野商店街、何でも揃ってる嶋田マートからのお届け物でーす!」
威勢の良い声で扉わ開けると、
○○は彼に対して呆れた視線を飛ばしていた
「文化祭での注文の配達があったからついでに……これ」
そう言って彼が差し出したのはカラフルな箱
その箱を見るなり彼女は、おぉ!と表情をにこやかなものに戻した
「わざわざ、すまんな。ありがとう」
彼女は咥えていたキャンディの棒を口から出した
「ちょうどコレが最後だったから助かるよ」
嬉しそうに笑う彼女を彼は少し苦い笑み見つめる
「そんなに飴ばっか食ってると、糖尿とかなるぞー
20代後半舐めんなー」
「一日一本って、決めてるよ」
「タバコみたいに言うなよ」
「嶋田や鵜飼のタバコや酒より体に優しいと思うけど」
「あれは大人の嗜みでーす」
そこまでの掛け合いをして二人は笑う
「鵜飼も嶋田もそうだけど、本当変わらないよな」
「いやいや、ちゃんと大人になってるよ」
高校時代の同級生
バレーして遊んで、たまにちゃんと勉強して
楽しかったあの日々が懐かしい
「時間あるなら何か飲んでく?
コーヒーならすぐ出せるけど」
彼女がそう言って彼を見る
(変わってない訳……ないだろ)
高校時代には感じなかった異性としての魅力
細くて、白くて、しなやかで……
酔ってしまいそうな程の甘い存在感
もし許されるなら抱き潰したくなる
でも、抱き潰せないのはアイツがいるから……いや正確に言えばいない
高校時代からカッコよくてバレーはレギュラーで彼女を掻っ攫って、結婚宣言して、指輪まで贈ってからいなくなったアイツ
"恋人の死"なんてどうやったって消えない存在感を残していったアイツ
(そんなの……勝てっこない)
抱き潰すなんてまた遠い話
思いを伝える事も出来ない
許されるともまだ思えない
「おぃ、嶋田。コーヒーどうするのさ?」
彼女がそう言って舐めかけの飴を口に運ぶのが見えた
昔、アイツが好きで舐めてた飴
同じメーカーの同じ味の飴だけを毎日、毎日、薬みたいに舐め続ける彼女
「少しは控えろよ」
飴が彼女の口に取り込まれる寸前で、彼はその腕を掴んだ
「だから、ちゃんと制限はしてるって」
振り払おうとする彼女の腕に彼は力を込める
細くてもう少し力めば捻れてしまいそうな腕
この腕も体も全部、いつまでアイツの事を抱えてるつもりなんだろう
「いつまでその味にこだわってんだよ」
感情は高ぶっているのに、発した声は思いの外静かだった
彼の言葉に彼女は、その意図を感じ取りキツイ視線を送る
「別にこだわってる訳じゃない」
「いつもこれしか口にしないだろ?」
「………好きだからいいんだよ」
彼女の"好き"が飴を指している訳でない事が分かった
それが分かってしまったが為に、もどかしさが悔しさが沸騰した
「他の試してないくせに、勝手に拒絶すんなよ」
「………」
「別に嫌いになれって言ってる訳じゃないんだよ………」
「……」
「他のにも目を向けてみたっていいじゃないか……って言ってんだ……」
彼はそう言うと彼女の口にビニールがついたままの棒つきキャンディを突っ込んだ
「!?」
「それは俺が好きな味だから!覚えて!」
訳が分からず目を見開く彼女の手から食べかけの飴を奪い取る
「案外、他の味試したらハマるかもよ?」
彼女が前を向いた時に隣にいるのが彼とは限らない
でも、もし、彼女が歩みだそうとするのなら
その時は誰にも取られぬよう、誰にもかっ攫われないよう
隣は誰にも譲らない
「店戻るから今日は帰るわ」
奪い取った飴を自分の口に突っ込む
「次からはその味のじゃないと注文受けないから」
彼はそう言って保健室を後にした