烏野高校
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土曜日の午前10時
○○は遊園地にいた
昨夜急に決まった本日の予定に彼女は、現地に着いてもなお、現実に追い付けていなかった
「さて、何から乗るべ」
両手で広げた遊園地の地図を菅原に覗き込まれ、○○はドキっと胸を高鳴らせた
昨夜、いきなり鳴った電話
それは高校時代、バレー部の先輩だった菅原からだった
卒業後、社会人になってもお互い地元にいる事もありちょくちょく連絡は取っていた
しかし、電話が鳴るのは初めてで驚いた
電話の内容はシンプル
"遊園地のチケット貰ったから行くべ"
彼はそう言って彼女の予定を確認すると待ち合わせの場所と時間を伝えた
それが、昨日の今日である
「ここ夜は観覧車からの夜景キレイらしいから、観覧車は最後な。
○○は、絶叫系いけんの?」
コクコク頷くと彼は嬉しそうに笑う
(何で私を誘ったんだろう……)
彼女は考える
彼に誘って貰えた事は嬉しい
ずっと憧れていた先輩だ
ただ、何で遊園地のチケットが2枚あって私を誘ったのか
はたまた、2枚使う予定が使えなくなったのか
(先輩、彼女とかいるのかな)
いたら私とは来ない?
いや、もしかしたらケンカしたから
そんな彼に彼女がいる事を前提に色々考えると胸が苦しかった
「あっ、菅原先生だぁ」
彼女が考え込んでいると小学生くらいの子供が声をかけてきた
「おっ、山本じゃん。
今日は遊園地か?」
「うん。
お父さんとお母さんとお兄ちゃんと来たの
明日、私のお誕生日だから」
「そっかぁ、良い誕生日プレゼントだな」
菅原はそう言ってしゃがみ込むと子供の頭を撫でた
「○○、この子俺の生徒なんだ」
彼はそう言って笑う
その顔は○○が知る"菅原先輩"のではなく、"菅原先生"と言う彼女の知らない大人な顔だった
「先生、この人は先生の彼女?」
子供の真っ直ぐで純真な質問は時として残酷
"ただの後輩"へたをすれば"ケンカした彼女の代替え"だ
そんな事を考える彼女の隣で菅原は笑顔で生徒に話す
「そっ!これから彼女になる人」
(………へ?)
「えぇ〜、これからなの?」
「今日告白して彼女になって貰うの」
「へー、そうなんだぁ。
そしたら、先生は結婚する?」
「うん。将来結婚して、ずっと一緒にいる予定」
脳内にハテナが浮かび思考が追いつかない彼女を置いてけぼりに、二人は話を進める
「おーい、迷子になるよー」
少し遠くに手を振る母親の姿があった
小学生は、あっ行かなくちゃと菅原に手を振りながら家族の元に戻っていった
「さて」
菅原は立ち上がると、半ば放心状態の彼女に笑顔を向ける
「す、菅原……先輩?」
絞り出すような声とカチカチになった彼女を見て彼は吹き出すように笑う
「ちょっと計画崩れちゃったけど、あれは全部本気だべ」
「!!」
「そんなに固くなるなよぉ〜
せっかくの遊園地は楽しもうぜ」
彼はそう言うと彼女の手を掴んだ
触れたところから彼の熱が伝わり、自分の脈が上がっていくのが分かった
「えっ、だって先輩、彼女とケンカしたから私を誘ったんじゃぁ………」
「彼女?何の話、それ?」
話について行けないんだけど
と言う表情を浮かべる菅原
「俺、彼女なんていた事ないよ。
チケット貰ったなんてのは○○誘うための口実だけど、
彼女にしたいのは○○だけだべ」
「………」
「"○○が好きだ"って、
最後の観覧車でまた言うから。
それまでに返事考えて」
掴んだ手に指を絡め握る
そしていつもより艶のある笑顔を浮べ、彼女の手の甲に軽く唇を当てる
見たことの無い彼の笑顔に胸が鳴る
「まぁ、断られるとは思ってないけどな」
ニカっといつもの無邪気な笑顔を浮かべると、
彼は強く握った彼女の手を引きあるき始めた