烏野高校
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廊下の掲示板に貼られたポスター
色とりどりの火の粉が華やかに円形を描く
「花火大会……」
もう何年も行っていない
花火も今年はまだ見ていない
○○はポスターに書かれた日付を確認する
(部活あるな………)
そう考えると花火大会も諦めがつく
実際に部活があるし、合宿前でみんな気合が入っている
サボるなんて考えは浮かばなかった
「隣町の花火大会か」
彼女は頭の上からする声に顔を上げる
そこには部活の澤村先輩が立っていた
「この花火大会、結構規模大きくて人集まるよな」
「先輩、詳しいですね」
「昔、行った事があるからな。
○○は行くのか?」
「いえ……その日は部活もありますし」
彼女の言葉に彼はん?っと考える
「この日は部活、午前中だけだぞ。
体育館の点検入ってるからな」
「えっ、そうなんですか……」
部活が半日なら花火大会には行ける
ただ、行きたい気持ちのもうひと押しが彼女にはない
(一人はイヤだしな……仁花ちゃん行ってくれるかな………)
「行くか!花火大会!」
彼女が顔を上げると、彼はポスターを見ていた
迷いのない、真っ直ぐな目
コートにいる時の様な、キラキラした視線
「先輩……あの、じゃぁ、私は一年の出欠席とればいいですか?
二年生は縁下先輩に頼んで………三年生は清水先輩にお願いしますか?」
彼女の言葉に彼は少し驚いた表情を浮べ、その後苦い笑顔を浮かべた
「人が多いなら集合時間しっかりした方がいいですよね。
何か目印になる建物とかあるかな。
調べときます。」
「なぁ、○○」
「えっ、はい?」
「二人で行こ」
「はい。わかって……」
彼の言葉を彼女は、頭の中で何度もリピートする
反射的に返事はしたものの、彼の言葉を理解して出た言葉ではなかった
「俺は……皆んなじゃなくて○○と行きたいと思ってる」
「えっ………と」
「○○と二人だけで行きたい」
先程より小さい歯切れの悪い声
彼女はふっと彼を見る
照れくさそうに俯いて
不安そうに閉じた口
紛らわすように頬を掻く指
確かめる様にちらっと送る視線が重なると
顔面が赤く染まってゆく
そんな彼の姿は新鮮だった
いつもコートとでみんなをまとめている姿
肉まんを奢っている姿
頼りになるそんな姿はかっこいい
でも、今目の前にいる少し不安気な姿は
彼女にとって等身大の"澤村大地"のような気がした
「わ、私も先輩と行きたいです」
彼女が振り絞った一言に彼はキラキラした笑顔を浮かべた