第8特殊消防隊
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逆賊扱いされる第8が身を潜める浅草
桜備が今後の作戦を考えていると、部屋の襖がしゅっと音を立てて開いた
「体は大丈夫か?」
入口には○○が立っていた
所属の隊こそ違えど、旧知の仲
そしてお互いに想い合う恋人の仲
しかし、彼女から彼に向けられる視線は、
心配する言葉とは裏腹に冷たい
元々、感情が顔に出るタイプではないが、
いつもの無表情をより強固なものにしている
「俺は大丈夫だ」
そんな彼女の視線をもろともせず、彼は力こぶをして見せる
「俺よりも森羅やアーサーの方が重傷だ
あそこで新門大隊長が来てくれなかったら、第8はどうなっていたか分からんな」
本当に助かった
彼はそう付け加えて笑う
彼女はピシャッと襖を閉めると彼に近づいた
「蟲を入れられそうになったと聞いたが……大丈夫なのか?」
「あぁ、それなら問題ない
獄中で俺の筋肉は仕上がった」
ニカッと笑う桜備
先の戦いで蟲を跳ね返した時の真似をして体の筋肉を主張させる
そうすれば目の前の彼女が笑うと思ったからだ
彼女の無表情は慣れている
冷たい視線は、確かに呆れたり、軽蔑したりする時にも使うが、
相手を心配する時にも使う
「俺なら大丈夫だ」
な?
笑顔で彼が言うと、彼女はするっと彼の懐に飛び込む
長い付き合いの中、初めてのことに彼は驚いた
飛び込んできた彼女は何を言うでもなく、ただ彼の胸板に顔を押し付ける
「不安にさせて悪かった」
「……」
「心配かけて悪かった」
「……」
彼女は喋らない
そんな彼女がどんな顔をしているのか気になり髪に触れる
白く柔い髪が指を抜ける
顔を隠す髪をどけようとすると、ぷいっと彼女は反対を向く
「見るな」
「俺は○○の顔を見たいぞ」
「イヤだ、見るな」
「見せてくれよ」
「顔を見る前にまず……」
「まず?」
「その仕上がった筋肉とやらで私を抱き締めろ」
その言葉で彼は反射的に彼女を抱き締める
小さくて細い彼女が、折れてしまわない程度の全力で
焔人にならなくて良かった
死ななくて良かった
筋肉を仕上げて良かった
だってまた、こうして彼女を抱き締めることができる
彼女の温もりを感じられる
彼は今この瞬間、この場でこうしていられる事の喜びを噛み締めた
「約束だ、○○の顔見せろよ」
ふいっと顔を上げる彼女
目の下が赤く擦れているその理由は、聞かずとも分かる
彼は彼女を再び強く抱きしめてキスをした